上写真=広島との練習試合で先発出場した大久保(写真◎石倉利英)
2つのチャンスを決められず
3月27日、45分×3本で行なわれたサンフレッチェ広島とガイナーレ鳥取の練習試合。今季、関西大から加入した鳥取のルーキーFW大久保優は1本目に先発し、2本目の15分まで計60分間、前線の一角でプレーした。結果は2本目までの90分間で0-4の完敗(3本目は1-1で、計1-5)。相手の巧みなパス回しに苦しめられた展開を、大久保は「どうしても守備に追われる時間が長くなってしまった。前からどんどんプレスに行く戦術でやっていますが、(今季開幕戦を終えて)J1の首位クラブと対戦すると、全然行くことができなかった」と振り返った。
大久保はファーストDFとしてボールを追う場面が多かったが、周囲との守備の連係がかみ合わず、うまくボールを奪えたシーンはわずか。「もっと後ろとコミュニケーションを取って、行くタイミングを合わせていければ、もう少し前からはめていくことができたと思う。後ろからの声も聞いて、スムーズに全員が連係できるようにしていければ、うまくできた」と語るように、全体の連動に課題を残す内容となった。
一方で大久保が悔やんだのは、後半に2つのチャンスを逃したこと。5分過ぎに右サイドを突破してシュートを打ったシーンが2回あったものの、1本目は相手DFにブロックされ、2本目は右足インサイドで狙ったシュートが左に外れた。そのときはまだ0-1だったため、1、2本目の90分間で考えれば同点ゴールを逃した形になる。
その後に大久保が交代で退いた後、19分に2点目を奪われてから3、4点目とたたみかけられており、試合の流れを変える逸機に。2本目のシュートについて大久保は「GKが結構ニアサイドに寄っていて、ファーサイドが空いていたので、そこに流し込めばいけるな、と思った」と語り、「少し左にずれてしまった。あれは決めなければいけない場面」と反省した。
また1本目では、関西大の1年先輩の広島DF荒木隼人とマッチアップする場面が何回かあった。プロ1年目の昨季から広島の3バックの一角に定着し、日本代表にも選出された先輩に空中戦で競り負けるなど苦しめられ、「強いですね。もちろんヘッドも強い。大学時代から対戦していましたが、J1で試合に出ている方なので、力強さを感じた」と舌を巻いた。
東山高(京都)から関西大に進んで成長し、プロ1年目の鳥取では即戦力として期待されるストライカー。J3リーグは開幕前に延期となっており、「早く試合がやりたい」という思いを抱えながら練習に励む日々だが、「自分が一番チームの力になれるのは、得点すること。前線でプレーしている以上は毎試合、突き詰めていきたい」という思いを開幕後にぶつけるべく、さらなる成長を期している。
文◎石倉利英 写真◎石倉利英