上写真=喜びを爆発させる千葉の鈴木大輔(写真◎J.LEAGUE)
信じてやることができた実りの多い1年
アディショナルタイムが5分を過ぎ、試合終了の笛が鳴った瞬間、鈴木大輔はピッチに跪き、両手で顔を覆った。あふれる涙を止めることなどできなかった。
「16年、悔しい思いをクラブとしてしてきて、僕も加入して5年、ずっとあと1歩、あと2歩と悔しい思いをしてきたんで。その分、機は熟したと思って、信じ切ってはいましたけど、やっぱり試合が終わった瞬間はいろんな思いが込み上げました」
昨季は終盤にケガもあって戦列を離れ、今季も20節以降はサブとした過ごした。だが30節の愛媛戦で先発に復帰すると、以降はプレーオフ決勝までスタートからピッチに立ち続けた。
「去年は本当に悔しい思いをしたので。でも今年はピッチで最後まで力になるんだっていう思いでやってきました。自分も年齢だとかケガだとか、そういう周りから色んな声がある中で、自分自身を信じてやることができた。実りの多い1年だったと思います」
今年35歳。来年1月には36歳になる。しかし衰えは微塵も見られない。今季はリーグ戦で30試合に出場し、2得点。その数字が需要度を物語る。
「加入してから色んな人と話すようになって、サポーターの思いとか、スポンサーさんの思いとか、クラブスタッフの思いとか、選手とスタッフ、色んな人の思いを聞くと、やっぱりこのクラブが好きになるし、自分がこのクラブを好きにさせてくれた人たちがいて、その人たちに本当に感謝だなと」
鈴木が抱くクラブに対する熱い思いはそのプレーからも、発する言葉からもたびたび感じられた。
「長年の思いを考えると、自分たちだけの力じゃないなっていうのは、前回の試合だったり、シーズンの中でも本当に思わされました。自分たちがサッカーしているのって、やっぱり人の思いなんだなと。1個1個、1日1日、1試合1試合に感動して。なんか感動できる仕事っていいなって思いました」
17年ぶりのJ1復帰を成し遂げ、来季は日本のトップリーグでプレーする。自身にとっては2020年シーズンの浦和時代以来、6年ぶりの舞台。もちろん鈴木は、自分史上最高を示すつもりで戦いに挑むーー。

目頭を押さえる鈴木大輔(写真◎J.LEAGUE)
