上写真=先制ゴールを決めた岡山の末吉塁(写真◎J.LEAGUE)
めちゃくちゃうれしかった
均衡を破る先制点が、その右足から生まれた。20分、ボックス内の混戦から値千金の先制ゴールを生み出した。
仙台のゴール前。ボールの争奪戦の中で木村太哉が体を投げ出すようにつつき、こぼれたところに末吉塁が素早く反応した。
本人はクロスをイメージしていたというが、ボールはGK林彰弘の頭上を越え、サイドネットに吸い込まれた。
「ファーを狙ったクロスだったんですけど、軌道を見たらちょっとこう、ゴールに入りそうな雰囲気はあったんで。一瞬、ちょっと時間がゆっくりなように感じでした。入った後はめちゃめちゃうれしかった」
今季の岡山は先制すれば、15勝3分けで負け無し。J1昇格を決める今回の一戦も、ファーストゴールが勝負を分けるポイントになると認識していたという。
「お互いに堅い試合の入り方だったんで、どっちに転んでもおかしくなかったし、ああいったところでラッキーではあったんですけど、ゴールが入って、試合を運びやすくできたってことはよかった」
昨年7月、千葉から岡山に期限付き移籍し、今年、完全移籍。強い思いをもってシーズンを戦い、最後に笑うことができた。
「木山(隆之)監督は自分がプロ1年目の時に山形で監督をやっていて。監督もずっとプレーオフで悔しい思いをしてきたと。ってのも聞いてたので、岡山のためにも、監督のためにも、今年絶対に昇格したいと思って戦いました」
末吉が山形でプロデビューした2019年、チームを率いていたのが木山監督だった。昨年から再び指揮官のもとでプレーすることになり、今年、今回が5度目のプレーオフ挑戦だった恩師に、自らのゴールで初めて『ウィナー』の称号を贈ることになった。
「思っていることをはっきり言ってくれるし、選手は時に厳しいことも言われると思いますけど、でも何を考えてるんだろうということとかがないので。僕自身、思っているのは、いま自分に足らないものはこれなんだとか、そういったところをはっきり言ってくれる監督だと」
岡山の新しい歴史を創ったこと、そして木山監督とともに昇格を果たせたことが何より嬉しいと末吉は繰り返した。
来季は自身初のJ1の舞台へ。岡山で、そして木山監督とともにさらなる歴史を紡ぐ。