11月26日のJ1昇格プレーオフ準決勝で、東京ヴェルディがジェフユナイテッド千葉を2-1で下して、決勝へと進出した。12月2日のその決戦の相手は清水エスパルスだが、千葉から勝利をもぎ取った勝負のアヤを、キャプテンの森田晃樹は清水戦勝利の糧にするつもりだ。

上写真=森田晃樹は自ら決勝ゴールを決めて、ファイナルへと導いた(写真◎J.LEAGUE)

◾️2023年11月26日 J1昇格プレーオフ準決勝(@味スタ/観衆25,150人)
東京V 2-1 千葉
得点:(東)中原輝、森田晃樹
   (千)小森飛絢

「自分でも、入ったのかなって思った」

 レギュラーシーズン3位の東京ヴェルディが、同じく6位のジェフユナイテッド千葉を退けた。この一戦で、東京Vのキャプテン・森田晃樹は勝負のアヤを2つ挙げている。

 一つはもちろん、ゴールについてだ。

「得点の時間帯はすごく良かったなと思います」

 序盤の劣勢をなんとか切り抜けたあとの34分、続けて44分。10分で一気にたたみかけた。そして、森田はそのどちらにも大きく関与している。

 先制点はアシストで。左で齋藤功佑が時間を作ったタイミングで内側に顔を出して引き出して、前方でポストに入った染野唯月につないだ。そのままゴール前に進むと、そこにボールがこぼれてきた。自分ではコントロールしきれなかった代わりに、右足で自分の背中側に残す。そこに中原輝がいたからだ。そして、中原は自慢の左足を振り抜いて、ゴール右に突き刺してみせた。技術と連携で中央を割った理想的なゴールだ。

 2点目は森田自身が決めてみせた。今季一度もなかった、ヘディングでのゴールだ。

「自分でも、入ったのかなって思った」

 その瞬間のことをこう振り返って笑わせたが、こちらはマイボールにしてからおよそ12秒で決め切った速攻だ。ハーフウェーライン付近で中原が奪い、前の染野に渡し、すかさず左の齋藤へ展開する。ここで少し時間を作る間に染野がニアへ、山田剛綺がファーに走る。

 その2人に相手が引きつけられたあとに、タイミングをずらして森田がゴール前に悠々と入っていった。

「あんまり中に入っていくことはないんですけど、齋藤選手からいいボールが来そうだと思ったので、思いきって入って良かったです」

 予感があったのだ。左からのクロスボールに対してヘッドで巧みにコースを変えて、ゴール右に流し込んだ。

 そしてもう一つのポイントだとしたのが、劣勢の中の我慢である。レギュレーションによって引き分けでも勝ち抜ける東京Vに対し、千葉は勝つしかない。攻めてくるに決まっている。

 そしてその通り、千葉はこの1年で作り上げてきたスタイルをキックオフから惜しみなくぶつけてきて、テンポよくボールを動かして前進を図った。それを東京Vは受けてしまった。

「千葉さんのペースに飲まれそうな時間帯が最初の方にありましたし、運もありましたけど、ゼロに抑えたのが良かった」

 そのあとに2点のリードを奪うことができたのは、この「我慢」で先にゴールを許さなかったからこそ。だが、運にも恵まれた、と謙虚に振り返ったのは、実際にはそのあとに失点しているからだ。後半開始から交代で入ってきていた小森飛絢に、78分に蹴り込まれている。

 このシーンは、東京Vの左サイドバック深澤大輝から縦につけたところを引っ掛けられて、そのまま素早くゴール前に運ばれた。2点リードしている状況で、あっけない失点だった。

「自分たちがどういうふうに残り時間を戦っていくかというのが、少し曖昧な部分もありました。失点の場面もそうですけど、自分たちが4-3-3のポジションに立つのか、4-4-2でやるのか、そういうところのズレですよね。結局、つなごうとしてサイドバックからというところでカットされて点を取られているわけなので。こういうところは次の試合に向けてしっかり修正しなきゃいけない点だと思います」

 スコアや時間帯によるプレー選択の判断と、チーム全体での共通認識。そのズレが、この日は最終的な結果に直結しなかったのは救いで、だから「決戦」となる清水エスパルスとのJ1昇格プレーオフ決勝まで、修正に意識を向けることができる。

 12月2日のファイナルバトルは、Jリーグのオリジナル10のチーム同士の対決としても注目が集まる。舞台は、国立競技場。清水とは今季、アウェーで1-2、ホームで0-1と連敗している。リベンジへの格好の決戦にもなる。警戒しなけばならないことは、明白だ。

「チアゴ・サンタナ選手や乾貴士選手という核があって、そこからの攻撃がやっぱり怖い。そこをいかに抑えるかだと思います」


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