FC町田ゼルビアがクラブ史上初めてのJ1昇格だ。10月22日の明治安田生命J2リーグ第39節でロアッソ熊本とアウェーで対戦。3-0で快勝を収めて今季23勝目を手にした。勝ち点を78として、3試合を残して2位以上を確定させ、昇格を決定した。

上写真=町田がうれしい初のJ1昇格!(写真◎J.LEAGUE)

■2023年10月22日 J2リーグ第39節(@えがおS/観衆9,895人)
熊本 0-3 町田
得点:(町)宇野禅斗、髙橋大悟、下田北斗

「たくさんの選手の思いが乗ったゴール」

 終了のホイッスルが鳴った瞬間、ベンチの前の控え選手たちやスタッフ、アウェーゴール裏から歓喜の声が弾ける。FC町田ゼルビアが史上初のJ1昇格だ。キャプテンの奥山政幸は「うれしい気持ちとホッとした気持ち、その二つの思いが強いです」と穏やかに喜んだ。

 町田は勝てば昇格が決まる一戦だったが、先にネットを揺らしたのは熊本だった。

 37分、平川怜がドリブルで中央から持ち運んで左に展開し、田辺圭佑の低いセンタリングがそのままゴール右に飛び込んだ。しかし、これは中央でボールに足を伸ばした粟飯原尚平がオフサイドの位置でプレーに関与したとして認められなかった。

 町田にとっては幸運で、正真正銘のゴールが生まれたのは44分だ。

 町田が左から攻めて一度はクリアされるが、藤原優大が反応してワンタッチで中央の宇野禅斗へ。すると、20メートルほどの距離から右足を振って強烈なシュートをゴール左に突き刺し、先制に成功した。

 52分には追加点だ。今度は右から深く入っていって、最後は高橋大悟が左足を振り抜いてゴールのど真ん中に突き刺し、後半開始早々に2-0として優位に進めた。

 61分には3点目を奪う理想的なゴール運び。またもや右から攻めて、バスケス・バイロンがドリブルで突き進み、センタリングがこぼれたところに反応した下田北斗が左足でシュート、DFに当たってコースが変わったがゴール左に飛び込んだ。

 青森山田高を何度も日本一に導き、今年から町田を率いることになった黒田剛監督は、目に涙をためていた。

「この1年間、今日の試合に出た選手だけではなくベンチ外の選手を含めて、一人も脱落せずに勝利に誠実に向き合ってくれました。仲間のために走りに走ってJ1昇格を果たし、町田の歴史を変えるところに気持ちを込めて戦ってくれて、感謝の気持ちでいっぱいです」

 2点目を決めた髙橋はそのゴールを「ラッキーでした」と振り返ったが、そこに宿る思いをこう口にした。

「いつもはカッコつけて打つところを、今日は気持ちを込めて思い切って打てました。試合に出ていないたくさんの選手の思いが乗ったゴールかなと思います」

 10節からは一度も首位を譲らずに、走り続けた。追われる立場で苦しんだこともあって、黒田監督は「日々不安との背中合わせで、毎晩寝られない日々が続きました」と明かしたが、足を止めることはなかった。

 その原動力を、髙橋はこんなふうに明かす。

「たくさんのことにストレスを感じながらも、選手は本当に踏ん張って踏ん張ってここまで来ました。チーム一丸で勝ち取ったものだと思います」

 そして黒田監督は「次のホーム最終戦で勝って優勝を喜び合いましょう」と宣言した。


This article is a sponsored article by
''.