上写真=高木俊幸は「耐え方」に手応えを感じている(写真提供◎JEFUNITED)
「ナーバスになりすぎずに」
ジェフユナイテッド千葉の高木俊幸は「熟成」を感じていた。
いわてグルージャ盛岡とのJ2第36節で、4分に先制しながらも押し込まれる時間が長く続いた。31分にはついに同点に追いつかれた。岩手の勢いはますます強くなって、さらに難しい時間が続いた。
だが、スキを逃さなかった。西久保駿介のクロスから田口泰士がヘッドで決めて、79分に勝ち越すと、このまま逃げきったのだ。押し込まれて、一度は追いつかれてまた押し込まれて、でもその末にアウェーでもぎ取った勝ち点3は大きい。
「当然、ボールを持って支配したい気持ちはありますし、それができるだけの能力がある選手が揃っていると思っています。でも、どうしてもできない試合もあるわけだし、守備の時間が多くなってもしっかり抑えたことで、チーム全体が同じ方向性を向くところが熟成されてきたと思います。『耐え方』がある程度できるようになってきた」
岩手は前線に体の強いクリスティアーノを据え、その後ろにオタボーとモレラトを配置して、ハードな守備と組み合わせて素早い攻撃で押し込んできた。逆に、次の相手のモンテディオ山形は、パスを刻んで攻め込んでくるスタイル。
「新潟もですけど、そういうチームに対して苦手意識はあまりないので、むしろ相手の方が嫌なんじゃないかなという気がしています」
岩手のような相手に苦労することのほうが多く、パスで組み立てるスタイルに対してはうまく引っかけて素早く前に運ぶリズムで勝負できる。そうイメージする高木の言葉には、攻略法がたっぷりと詰まっていた。
「山形はつなぐのがうまいチームだし、なかなか守備がはまらない時間も増えてくると思います。そこで失点しなければチャンスも来ると思う」
「相手のストロングであるボールを持つ力に対して、こちらがナーバスになりすぎずに、ある程度は受け入れてやることが大事です」
「最初は相手のプレスの強度に慣れるまでに時間がかかると思うし、どうしてもつなげなくて長いボールになってしまうかもしれません。そこで自分や前線の選手が収める時間を作って盛り返せるか」
「カウンターは常に自分たちの狙いとしているところですし、相手が持ちきって自分たちの陣地まで運んできてくれたほうが、スペースが消えて相手もやりづらいかもしれないし、そうなれば逆に自分のスピードを生かせるように、スキを突く準備はしたい」
「相手の時間をまたゼロでしのげば、相手も90分同じ強度でプレスをかけられるわけではないから、自分たちが持てる時間が出てきます。その時間が来るで割り切って戦えばいい」
岩手戦で示した「割り切り」と、これまで形作ってきたカウンター、前線でのキープから押し上げていく総攻撃を組み合わせて、同じ勝ち点の山形を倒してみせる。