上写真=濱田水輝は今季7試合目の出場で、勝利へあと一歩まで迫った(写真◎J.LEAGUE)
■2022年8月20日 J2第32節(ニッパツ/4,611人)
横浜FC 1-0 岡山
得点者:(横)山下諒也
「どんなメンバーが出ても結果を出せる集団に」
「選手たちは死力を尽くしてやってくれました。横浜FCさんは首位で強いけれど、選手たちはよく立ち向かったと思います」
ファジアーノ岡山の木山隆之監督は力強く振り返って、だからこそ0-1の敗戦に「十分勝つチャンスはあったから、悔しいの一言です」と猛烈なもどかしさを隠さなかった。
新型コロナウイルス感染症の陽性診断が多数出て、試合当日、キックオフ5時間前となる13時までメンバーを決められない状況だった。出場停止だった柳育崇も含めて、ベンチ入りの18人のうち前節から8人が代わっていた。
それでも木山監督は横浜FC対策として、いつもの4バックではなく3バックで臨むことは1週間前から決めていたという。「相手は中3日でどんなメンバーかわからなかったけれど、長谷川(竜也)選手がキーになるので強くつぶしたいと思っていました」が狙いの一つだった。
その長谷川の対面に立ったのが、濱田水輝である。32歳の脂の乗ったDFはこれが7試合目の出場で、先発は7月6日以来、2試合目のことだ。決して出場機会が多くはなかったが、ヨルディ・バイスと宮崎智彦と中央を固め、厳しい守備で横浜FCの焦燥を誘い、無失点のまま時計を進めた。
「相手と同じ3-4-3の形ではめにいって、前からプレッシャーにいく狙いでした。実際にボールを回収できてシュートまでつなげられるシーンもあったので、システム的には機能したと思います」
それでも、71分についにゴールを許すことになる。右CKから自らが放った強烈なヘディングシュートをクリアされてからのカウンターだった。
「過去にも同じようなカウンターからの失点があって、足を止めずに全員が全力で戻るとか、ほかにも対応がもっとあったのではないか」
この1点に泣くことになり、4位から3強の一角に迫る挑戦は足踏みすることになった。「絶対に勝たなければいけないゲームでしたけど、結果が出なくて本当に残念に思います」と悔やみきれないが、コロナ禍に見舞われながらのアウェーゲームという悪条件に屈しないチーム力を見せることができたのも、また事実。
「コロナはどこのチームも苦しんでいて、自分たちだけがこういう状況に陥っているわけではありません。すべてを乗り越えてその先にJ1昇格があると思っているので、こんなところでつまずいている場合ではない」
失った勝ち点と引き換えに、同じぐらい大事な何かをつかんだ90分。
「できれば勝って結果で自信をつけるのが一番ですけど、今日の敗戦をどうとらえるかで昇格への道は変わってくると思います。しっかり冷静に反省と分析をして、できたところとできなかったところを整理して、どんなメンバーが出ても結果を出せる集団になっていきたいと思います」
勝ち点51で4位の岡山は、自動昇格圏の2位までは11ポイント差。モンテディオ山形との再開試合を含めて残り11試合である。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE