上写真=尹晶煥監督は苦しい陣容でどう盛り返していくか(写真提供◎JEFUNITED)
「ボールから遠い人が背後を狙う」
尹晶煥監督がまたも新型コロナウイルス感染症と負傷者に悩まされている。メンバーが十分に揃わないまま8月14日のJ2第31節・FC町田ゼルビア戦に臨み、1-2で敗れた。勝てば順位を入れ替えることができただけに、厳しい陣容だったとはいえ痛い黒星になった。
ただ、前半に先制されながら52分にチアゴ・デ・レオンソが追いついたところまでは良かった。本来ボランチの熊谷アンドリューを急造3バックのセンターに起用し、しかもその熊谷が29分で負傷交代するというアクシデントに襲われても、87分までは1-1でしのいでいたのだ。熊谷に代わって入った西久保駿介がPKを与えてしまうアンラッキーで決勝点を奪われたが、尹晶煥監督が強調したのは、守備よりもむしろ攻撃について。
「奪ったあとの動きが単純に前に出ていくしかできませんでした。相手もプレッシャーが早くて圧迫してきましたが、その背後を狙えなかったのがポイントでした。足元、足元ばかりになってしまって、相手が守備をしやすくなったことでうまく攻められませんでした」
大胆さよりも慎重さが上回ったのか、ミスを避けるようなボールの動かし方になったという反省だ。
「ボールから遠い人が背後を狙う動きが必要でしたが、タイミングが合いませんでした。みんな足元で受けることが多くなって、もう少し背後の狙いがあればよかった。後半はそれが少し出てきて、相手の疲れもあってうまく奪えてスムーズに攻撃できました。背後に走ることで相手のラインを低くできて、その前で足元で受けることもできるので、メリハリが必要だと思います」
背後を取ればそのままチャンスになる。あるいは直接チャンスにならなくても、裏のスペースをうかがうことで相手を押し下げて、手前側にスペースが作れる。その使い分けは、中2日で迎える次のヴァンフォーレ甲府戦にも生きてくる。
「体がきついけど、どれだけ賢くサッカーができるかがカギになります」
奥と手前の使い分けが第一の仕掛けなら、賢さがもう一つのポイントだ。それは甲府側から試合を俯瞰すればよくわかる。甲府は中3日で、千葉よりも1日長くコンディションを整えられるのだ。
「1日多く休んでいるので、ジェフよりはいいコンディションで臨んでくると思います。やり方は変わらないですし、今回はこちらの体力も考えると、前にプレッシャーをかけてくるのではないかと予測しています」
だから、賢さが必要なのだ。
「無駄な走りは必要ない、ということです。走るときにはきちんと走ってプレッシャーにいきますが、相手に“持たせる”ようなイメージでプレーして、全体でバランスを取りながら崩しに入ってくるところだけ対応すれば守れると思います。前半から飛ばしすぎて後半に落ちてしまうとバランスが崩れるので、そういうところを考えないといけません」
メリハリと賢さ。苦しいからこそ、千葉は頭でサッカーをする。