上写真=逆転弾は谷口海斗(7)の一撃。仲間たちが駆け寄って祝福する(写真◎J.LEAGUE)
■2021年8月22日 明治安田生命J2リーグ第26節(@デンカS/観衆8,951人)
新潟 2-1 相模原
得点者:(新)福田晃斗、谷口海斗
(相)藤本淳吾
「柔軟性を持ったゲームができた」と高木監督に手応えも
アルビレックス新潟が3つの引き分けを経て、ようやく勝利だ。右から、そして右からと、逆転劇を演じた2つのゴールは、右サイドからのクロスによって生み出された。
前半に試合が大きな動きを見せたのは、とても短い時間だった。29分、相模原は成岡輝瑠が巧みなターンからスルーパスをゴール前へ流し込むと、澤上竜二が突っ込むがボールがこぼれ、拾った安藤翼が藤本淳吾に渡すと、技ありのループシュートでアウェーチームが先制した。
だが3分後には新潟があっけなく追いつく。星雄次が高木善朗とのワンツーで右サイドを突破、星のクロスが相手に当たってこぼれたところに福田晃斗が待っていて、右足を鋭く振り抜いてあっという間に同点とした。
この3分間を除けば、主に相模原が自陣でしっかりと構えて新潟の攻撃を迎え、新潟はその網をかいくぐるようにボールを動かすという、ややおとなしい展開。それが、後半開始早々に変わっていく。
51分にまたも右サイドから藤原奏哉がクロス、相手に当たってコースが変わったところに谷口海斗が入っていて、相手よりわずか先に右足を伸ばして蹴り込んだ。逆転だ。
アルベルト監督は「相模原さんは守備の際に5-4-1の立ち位置でゴール前を固めることを予想していたので、サイド攻撃が機能すると思って準備してきました」と狙い通りの攻撃だったことを明かした。この夏に獲得した高澤優也を初先発させ、「優也と海斗とクロスからの攻撃が得意な選手を一緒に起用することによってサイドからの得点を狙いました」と中央に厚みをもたせる起用が功を奏した。
これで新潟はさらに攻勢を強めていくのだが、逆転弾にその理由があった。クロスを上げた藤原へのパスは、星雄次がセカンドボールを拾って福田に戻してから送られている。後半に入ってからの新潟は、押し込んで高い位置でこぼれ球を拾い続けたことで圧倒的に優位に立ち、得点を挙げ、さらにそのテンポをアップしてリズムを作り続けた。
ただ、アルベルト監督が指摘したように、チャンスを作りながらもゴールはここでストップして苦しんだ。終盤にFWユーリを入れるなどでパワープレー気味に挑んできた相模原にヒヤッとさせられたのも、さらなる追加点を取るべきところで逃したからだった。
そのため、アルベルト監督は4試合ぶりの勝利にも淡々。「勝利を収めつつも、自分たちに矢印を向けて批判的に振り返ることはポジティブだと思うので、そのようなとらえ方を続けていきたいと思います」と一喜一憂せずに、次へ進む意思を示した。
高木琢也監督はシーズン途中からチームを率いて、これが10試合目。僅差での黒星となったが、新潟相手にできたことも多かった。
「全体を通して言えば、ビルドアップのやり方を変えながらやりましたし、うまくいく時間もあったので、柔軟性を持ったゲームができたと思います。しかし、我々は勝利しなければいけないので、次のゲームに向けてやっていきたい」
キックオフ直後はロングボールで相手陣内に入りながら、徐々に新潟のお株を奪うようなボールの動かし方で回していき、終盤には再びパワープレーで狙うなど、バリエーションを見せた。それが次につながると振り返った。
写真◎J.LEAGUE