上写真=拳を高々と掲げてサポーターに勝利を報告。鈴木大輔は冷静な対応力をチームにもたらした(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月29日 明治安田生命J2リーグ第16節(@NACK/観衆4,351人)
大宮 0-2 千葉
得点:(千)見木友哉、サウダーニャ
「スカウティングが効果を発揮しない」
取るべき人が取って、守るべき人が守る。もちろん、全員で攻めて全員で守ることが原則だが、それでも一人ひとりがきちんと仕事をした上での2-0は、まさしくプロフェッショナル的な勝利と言えた。
アウェーで勝ち点3を手に入れたジェフユナイテッド千葉で、守るべき人の一人、鈴木大輔はこの試合の難しさを振り返った。相手の大宮アルディージャは監督が代わって最初の試合で、予測ができなかった。
「今日はスカウティングが効果を発揮しない試合でしたが、適応できました。最初の飲水タイムまではゼロで抑えて、ベンチと一体となってやり方をマイナーチェンジさせました」
メンバー表を見た時点では3バックの可能性も視野に入れていたという。
「メンバーが少し代わってきて3バックも予想していて、ミラーゲームみたいな形になってくるのかなとも予測していたところ、4バックでのスタートでした。前回の試合ではサイドバックが低い位置で回してきていて、今回は高く出てくるのかどうかで自分たちの5枚のスライドは変わってくるので見極めてやっていました」
これで5試合負けなしとなったが、大宮の監督交代によって予測が難しくなったことが逆に、千葉の対応力が高まってきたことを示したと言えそうだ。
3バックの左である鈴木としては、相手の異なる攻撃の組み合わせにもきっちり対応した。前半は高さのあるネルミン・ハスキッチと、その周りを動き回る黒川淳史のコンビ。
「予測の中でハスキッチ選手の裏を流動的に、3バックの脇のスペースを狙ってくるのではというのがあって、でも引き込んだ守備はしたくありませんでした。縦のボールを狙われたとしても、(チャン・)ミンギュが回収する狙いでできました。スペースを取られているというよりは、そこしか空いていないので回収できるという守り方をしていたつもりですね」
こちらが2点をリードした直後の56分からはイバが入ってきて、ハスキッチとのツインタワーに。
「リードする中でブロックを作って後ろで構えるのではなくて、相手にセットされた状態の中から少しずつ牽制をかけて後ろでつながせないということを心がけていました。相手も点がほしいのでロングボールが増えてきて、そこに対してはうちの3センターバックがチャレンジ・アンド・カバーでシンプルに対応できると思ったので、クロスの対応だけ気をつけて、あとはセットプレーで集中してという感じでしたね」
岡野洵、チャン・ミンギュと組む3バックも9試合目となり、安定感も対応力も絶賛レベルアップ中。さらなる上位進出へ、また一つ自信を身につけた。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE