上写真=1-0の勝利の立役者がGK若原智哉。数々のファインセーブでチームを救った(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月23日 明治安田生命J2リーグ第15節(@デンカS/観衆12,684人)
新潟 0-1 京都
得点:(京)川崎楓太
「フィールドの選手のおかげです」
21歳の守護神が威風堂々だ。京都サンガF.C.のGK若原智哉が、アルビレックス新潟の強烈な攻撃陣をことごとくストップ、1-0の勝利の立役者となってついに首位に登りつめた。
「落ち着いて試合に入れた感じではあったので、やられる気はあんまりしなかったです」
度重なるファインセーブにも涼しい顔だ。36分に裏に潜り込んできた鈴木孝司のヘディングシュートは正面できっちりキャッチ。39分に右から深々と入ってきた三戸舜介のドリブルは、相手の足に触れずにうまくボールだけを左手でかき出してシュートを打たせず、事なきを得た。46分の本間至恩の強烈なドリブルシュートもしっかりと手を出して弾いてみせた。
後半もだ。開始から1分もたたないうちに右からのクロスに鈴木がヘディングでコースを突いてきたが、手前でバウンドした難しいボールを左に飛んで両手で押し出した。74分には島田譲の強烈なロングシュートを両手で弾き飛ばした。85分にも右を突破してきた本間の速いシュート性のクロスを逆サイドに追いやるパンチングを見せた。
これだけのピンチを防ぐことができたのも、理由はすべて仲間のおかげだという。
「新潟さんの質のいいクロスやドリブルも良かったので難しかったですが、フィールドの選手のプレスのおかげで、だいだいこんな感じだろうなと予測できたので、フィールドの選手のおかげです」
京都にとっては、自分たちの良さをぶつけることが「新潟対策」だったといえるだろう。しっかりとボールに圧をかけ、90分走り切る。その繰り返しによって、若原のファインセーブも生まれることになったということだ。最初から勝てると踏んで余裕を持っていたわけではない。
「やれるということはあまり思っていなくて、でもみんなが体を張って70〜80パーセントぐらいは安心感がありましたけど、立ち上がりに相手が乗るようなプレーがあったので、20〜30パーセントはもっと集中してやらないといけないと思っていました」
そこはまさに伸びしろになる。
チョウ・キジェ監督も、決勝点を挙げた川崎楓太とともに、アカデミー出身者の成長を喜ぶ。
「智哉も非常にいいセーブを見せてクロスにも飛び出ししてくれましたが、これをベースにしてステップアップしてほしいという思いしかありません。ようやく勝つ顔になってきたなと感じていたので、神様がご褒美を与えてくれたのではないか」
これで15試合が終わってついに首位に立った。だが、27試合が残っている。若原は慎重な姿勢を崩さない。
「僕はあまり順位は気にしていなかったですね。1位になったんだなと感じますけど、2年前にも1位になったけれどだんだん落ちていったので、明日からしっかり集中してみんなで取り組んでいければいいと思います」
写真◎J.LEAGUE