上写真＝アルベルト監督から祝福を受ける阿部航斗。全試合でゴールを守り抜いている（写真◎J.LEAGUE）
■2021年5月1日 明治安田生命J2リーグ第11節（＠デンカS/観衆12,522人）
新潟 2-0 千葉
得点：（新）谷口海斗2
「苦しいボール運びが続いてしまいました」
アルビレックス新潟がついに開幕から11戦無敗だ。第11節でもジェフユナイテッド千葉を2-0で破って連勝として、向かうところ敵なしにも見える。
しかし、この千葉戦は苦しんだ。どれぐらい苦しんだかと言えば、アルベルト監督が「今季、最も難しい試合だった」と振り返ったぐらいに。
「前半にうちが1点を決めたあとから千葉もやり方を変えてきて、自分たちで苦しいボール運びが続いてしまいました」
最後の砦、GK阿部航斗はそう見ていた。3-3-2-2の配置でスタートした千葉は、前線の並びを2トップから3トップ気味に変えてきた。最初は櫻川ソロモンと岩崎悠人を並べて、こちらの最終ラインでのパス交換を2人で追いかけ回しに来た。しかし、5分に新潟が先制すると、15分になる前には3-4-2-1にして、櫻川と岩崎に見木友哉も加えて3人でボールの出しどころを抑えに来た。パスコースを制限され、ミスも相次ぎ、阿部がサポートに入ってボールを受けて組み立て直すシーンが増えていった。
「自分がボールを触る回数が増えてしまって、そこでもミスが多かったので、次に向けて改善していかないといけないと思います」
阿部がボールを受けてもその次の出しどころをうまく抑えられ、キックミスもあって、仕方なくロングパスを送っても回収された。嫌な流れだった。
「ファインセーブで救ってくれました」とアルベルト監督
実際に千葉にゴールに迫られる場面が増えていった。
特に53分、56分、57分など連続して襲いかかられた時間帯は、失点してもおかしくない迫力が千葉にあった。アルベルト監督も「プレスに対して足元で受けようとするプレーが多くなり、スペースへの動きがなくて苦しみました」と反省したが、「いいプレーができていなかった時間に、阿部が素晴らしいファインセーブでチームを救ってくれました」と感謝した。
特に53分はビッグセーブだった。右サイドからの小田逸稀のセンタリングを櫻川がファーポスト際に飛び込んで右足を思い切り伸ばしてシュート、バウンドする難しいボールだったが、左手一本でかき出した。
「いままでやってきた10試合とは違って、枠内にシュートが飛んでくる機会が多かったと思います。ディフェンダーの方々もポジショニングでコースを限定してくれたので、開いているコースがないところでセーブするだけでした。チーム全体で守れた試合かなと思います」
自らのファインセーブというよりは、仲間たちの高い守備意識の数々に感謝するのだった。プロ2年目、開幕戦でデビューしてから、11試合ゴールを守り続ける赤い髪の守護神。チームとともに、試合ごとに成長を遂げていて、頼もしい。
写真◎J.LEAGUE
