上写真=自慢の左足を駆使して輝きを放った中原輝。先制ゴールを導くなど、勝利に貢献(写真◎J.LEAGUE)
■2021年3月7日 明治安田生命J2リーグ第2節(@味スタ/観衆2,709人)
東京V 0-2 山形
得点:(山)ヴィニシウス・アラウージョ2
ゴールやアシストにこだわって
J3で6ゴール6アシストの実力者は、J2でも楽しそうにプレーしている。ロアッソ熊本からモンテディオ山形に加わった中原輝が、第2節の東京ヴェルディ戦でJ2初先発、2-0の勝利に貢献した。
「僕自身の特徴はたくさん出せたかなという感覚はあります。ゴールやアシストは残せなかったので、これからそういう部分にもっとこだわってやっていきたい」
1-1で引き分けた開幕戦のFC町田ゼルビア戦を経て、石丸清隆監督は先発メンバーを2人代えた。そのうちの一人が中原だ。町田戦で76分から登場して「試運転」は終えている。満を持しての初先発だった。
最大の武器は左足。右サイドハーフに入ってカットインからのフィニッシュ、あるいはインスイングのクロス、もしくはインサイドに入ってDFラインの裏に送り込むスルーパスで、危険なシーンをつくっていった。
この日はボランチの國分伸太郎、山田康太を軸に、トップ下の南秀仁、1トップのヴィニシウス・アラウージョ、左MFの加藤大樹、右MFの中原でボールをスムーズに運んでいった。そのリズムに右サイドで強弱をつけていたのが中原で、パスワークのテンポに乗せてクロスを送ったかと思えば、一度足元に収めて動かずに時間を止めてから、長短のパスで相手の裏をかいた。
「速攻ができるときにそれを逃すのは、アタッカーとして判断ミスになります。それはしてはいけないと思います。まだまだな部分も多いのですが、速攻のチャンスメークやシュートは自分の特徴を出しながらできたところもあります」
スムーズに進んでいく山形の攻撃に、時間を操るプレーリズムを組み込むことで、あえて「引っかかり」も加えつつ、相手の予測を超えていく。そんなイメージのプレーぶりだった。
「ヴェルディがつなぎたいのは分かっていたので、守備でやるべきなのはコンパクトにすることでした。逆に、相手が人数を前に割いてくるので後ろが薄くなるのは感じていたので、奪った瞬間に前への推進力や仕掛け、クロスも意識していました」
先制ゴールにつながった左CKを中央に送ったのも中原。ファーサイドの野田裕喜にきっちりと合わせてみせた。ヘディングシュートのこぼれ球をV・アラウージョが決めた13分の一撃。
「あの点は狙いどおりというか、あのポイントに裕喜やクマくん(熊本雄太)が入っていくので狙っていて、それが得点につながって良かったと思います」
練習は嘘をつかなかった。
「開幕で勝てずにこの試合にかける部分は大きかったんです。スタートで使ってもらったので何が何でも勝ちたかった。個人的に数字を残せなかったけれど、勝利に貢献できたのは良かったです」
また一人、楽しみなレフティーがJ2を彩ることになりそうだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE