上写真=先制点を決めたヴィニシウス・アラウージョのもとに仲間が集まる。山形が初勝利!(写真◎J.LEAGUE)
■2021年3月7日 明治安田生命J2リーグ第2節(@味スタ/観衆2,709人)
東京V 0-2 山形
得点:(山)ヴィニシウス・アラウージョ2
「相手コートでマイボールでサッカーができなかった」
開幕からアウェー3連戦となっているモンテディオ山形にとっては、開幕戦のFC町田ゼルビア戦で引き分けたあとの東京ヴェルディとの一戦で、まずは初白星を手にしておきたいところ。キックオフから得意のコンビネーションプレーが冴えて、右から、左から、中央からと、バランス良く攻めていった。
開幕戦で愛媛FCに3-0の完勝を収めて好スタートを切った東京Vの方が勢いが上かと思われたが、試合が始まると五分五分の序盤から徐々に山形がボールとともに前進して、相手の嫌がる場所を起点にしてリズムをつくっていく。早々に先制したことも、優位に試合を進める後押しになった。
13分、左CKを中原輝がファーへ送ると野田裕喜がヘディングシュート、これをGKマテウスが好反応ではじくのだが、詰めていたヴィニシウス・アラウージョが難なくプッシュ。さっそくゴールネットを揺らした。
山形はボランチの山田康太と國分伸太郎が何度も絡む連続性を生かし、スムーズにボールを動かしてテンポを生んだ。そこに変化を加えるのが左利きの右MF中原輝で、時間をうまく使いながら意外性のある場所にボールを届けてチャンスをつくっていった。東京Vは守備から攻撃にかかるところでパスミスが散見され、山形に引っ掛けられて、自慢の攻撃志向に乗り切れないまま。
決定的だったのは66分。山形が左で動かして相手を食らいつかせておいて、最終ラインの前にスペースをこじ開け、そこに入った南秀仁へ。ドリブルで運んでペナルティーエリアの中からシュート、今度もGKマテウスがストップしたものの、またしても詰めていたヴィニシウス・アラウージョがプッシュしてリードを2点に広げたのだ。
結局、このまま山形が逃げ切る形で試合をクローズ、初勝利を手にした。石丸清隆監督は喜びつつも課題も挙げている。
「前節、不甲斐ないゲームをしたので、少しでも自分たちらしさ取り戻したいという思いで臨みました。完璧ではないですけど、勝てたのは大きい」
「相手に合わせた攻撃してしまったかな、という印象です。南やヴィニシウスがフリーなのに使わなかった場面があって、そこは反省点です。ただ、崩しにいこうという姿勢は前節より進歩しているので、ポジティブに捉えたいと思います」
東京Vにしてみれば、自分たちがやりたいことを相手にやられた格好。永井秀樹監督も反省の弁だ。
「一番悔しいのは我々のゲームができなかったことです。守備に回る時間が長すぎて、マイボールの時間が少なく、相手コートでマイボールでサッカーができなかったことが非常に悔しいです」
「相手のサイドバックが高い位置を取る並びなので、奪った瞬間に相手が2バックのうちにスペースを突いて攻めようというプランがありました。でも狙いすぎると、急ぎすぎて引っかかってマイボールの時間にならないので、難しいところです」
自分たちらしさを表現した方が勝利に近づく、という真理に基づいた90分になった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE