J2リーグは2月27日に開幕するが、京都サンガF.C.は翌28日、SC相模原とのアウェーゲームで新シーズンをスタートさせる。新しくチームを率いるチョウ・キジェ監督はこの一戦にどう向っていくのか。焦ってはいないが、引き締めている。

上写真=2月28日の開幕戦へカウントダウン。チョウ・キジェ監督の戦いもスタートする(写真◎スクリーンショット)

先発メンバーは「全然(頭の中に)ないです」

 情報とは難しいもので、サッカーにおいては勝利をつかむために万能な力を持つわけではないが、なければ敗北につながる。踊らされては自分を見失うし、距離を置きすぎると相手を見失う。だから、SC相模原との開幕戦に向けた京都サンガF.C.のチョウ・キジェ監督のスタンスが最適なのかもしれない。

「必要なことは伝えようと思っています。準備はしていますが、自分たちが襟を正して、ネクタイを締めてプレーしなければ、どこが相手でも勝てないんです」

 だから、常々「毎日、サンガタウン(練習場)で戦った者がスタジアムに立つ」と言い続けてきた。2月28日に今季最初のリーグ戦を迎える直前になっても、その思想は変わらない。開幕を前にした1週間の取り組みの中で、選手たちは変わらず戦い続けている。

 細かい調整は進めつつも、2月23日に取材で話した時点では先発メンバーは「全然(頭の中に)ないです」と笑う。「何かアクシデントが起こるかもしれないですからね。でも、誰がピッチに立っても変わらないですから、細かいところを詰めていきたい」。ということはつまり、チームの始動からここまでで順調にチームづくりが進んできたということだ。

「前の日のことを次の日に修正したり、前の試合で見えたやるべきことを提示することによって、自然に選手の選択が良くなると思うんです。開幕戦はじきにやって来ますが、まだ数日間、練習があるのでその日々を充実させたい」

 先を見すぎずに進んでいく地道な歩みが、チョウ監督のやり方だ。

「(開幕まで)ラスト1週間で劇的に良くならないという人もいますけど、僕はそんなことは思っていなくて、やっぱり1日あればチームは劇的に良くなることもあるんです。一瞬とか1日という時間を大事にするために、今日も選手と共有してミーティングしたつもりです」

 残り数日でも、何かが変わるかもしれない。でもそれは、毎日の積み重ねがあってこそ。それができているから、誰が出ても変わらないという自信が生まれてくる。

 とはいえ、選手の個性を殺すチームではないから、色付けは選手次第。

「もちろん、試合に出る選手の特徴によってニュアンスが変わるところはありますけど、オーケストラに例えれば、毎日音楽会を開いて次の日に違うように聞こえてもいい意味でOKなチームなので、選手を信じて戦っていきたいと思います」

 いよいよ、新生サンガの挑戦が始まる。


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