上写真=新しいキャプテンに決まった松田天馬。毎日の練習から背中で見せる(写真提供◎京都サンガF.C.)
ヘンダーソンのようなリーダーシップを
J1昇格へ向けて情熱的に取り組む京都サンガF.C.のキャプテンが、松田天馬に決まった。湘南ベルマーレから移籍してきたばかりの背番号4に、チームの顔としての信頼が託された。
「監督と話し合って、やってくれという話でOKしました」
就任への経緯の説明はあっさりとしたものだった。でもすでに、芯の通ったキャプテンシーを語ってみせた。
「たぶん誰がやってもこのチームはまとまると思いますけど、普段の練習で100パーセントでやるという取り組みの姿勢は自分の特徴だと思うので、そこは若手にも上の人にも示せる部分だと感じています」
チョウ・キジェ監督は「一番ボケている人を選ぼうかなと思いました」と指名の理由を冗談めかしたが、「意欲や成長したい気持ちが背中でみんなに伝わることが一つ、そして天馬の成長のためにキャプテンマークを巻かせてプレーさせることが成長の一助になる、その2つを狙って役を担っていただきました」と説明した。チームと松田自身の両方の成長を信じているのだ。
松田にとってキャプテンは「小学生のときにちょっとだけやった記憶があるぐらいで、ほぼ初めてです」ということだが、すでに理想的なキャプテン像は頭の中にある。
「リバプールが大好きで、キャプテンのヘンダーソンはすごいなと思っているんです。あんなリーダーシップが発揮できたらと思います。試合を見ればそれが分かりますし、やっぱりサッカーで示さないとついてきてくれないと思います。そこはオン・ザ・ピッチでしっかりやっていきたいと思います」
松田よりも5歳年上のジョーダン・ヘンダーソンは、誰よりもピッチで戦う闘将だ。「普段の練習から100パーセントでやる」という自己評価がクロスオーバーする。
「試合に勝てる練習というのは、この3年間で学べたことです。勝つための練習はもっとみんなに広められるというか、練習で示していけられる部分かなと思います」
キャプテンに就任したからといって、ポジションが確約されているわけではない。だが「サンガタウン(練習場)で戦うこと」をチーム再構築の絶対条件に掲げるチョウ監督にとっては、松田の姿勢は頼もしく映るだろう。
「攻撃に関してアグレッシブになっていると思います。得点の取れるチームづくりというか、これまでとは少し違っている部分あるのかなと感じています。僕も新しいことをいっぱい聞くので新鮮です」
湘南時代も知る松田は、その頃からのチョウ監督自身の進化をそんなふうに感じ取っている。その新しい京都フットボールを体いっぱいに表現して、副キャプテンに指名された飯田貴敬、本多勇喜、武富孝介、そしてヤングキャプテンに就任した福岡慎平とともに、チームを、クラブを、ファン・サポーターを引っ張っていく覚悟だ。