上写真=森脇良太の情熱が、チョウ・キジェ監督のそれとシンクロする(写真提供◎京都サンガF.C.)
「もっともっと」が止まらない
百戦錬磨のベテランが心を動かしているのだから、本物ということだ。今年から京都サンガF.C.を率いるチョウ・キジェ監督の熱い姿勢は早くも多くの選手の心を奪っているが、34歳の森脇良太もその素晴らしさに心酔している。
「湘南の監督時代から何度も対戦してきて、湘南フットボールに試合を通して触れてきました。躍動感のあるサッカーをしていて、当時から素晴らしい指導者で間違いないと思っていました。いまこうして一緒に仕事をする時間を持てて、思っていた以上に素晴らしい監督だと実感しているところですね」
始動してからまだ1カ月もたっていないが、「チームは間違いなく前進していると実感として持てています」と強くうなずくのだった。
若手が刺激を受けるのはもちろんだが、森脇のような経験豊富な選手がさらにフレッシュな感覚を取り込むことができている。
「34歳でベテランと呼ばれる年齢ですけど、日々学ぶことがたくさんあります」
「相手より多く走れば走るほど、有利に働くのは間違いありません。攻撃でも相手の倍走ればそれだけチャンスを作れますし、守備でも倍走ればピンチをより防ぐことできます。キャンプではものすごく走っていて、それが数値的にもいいと言われているので選手としては自信になりますし、ベテランと言われても、これだけ激しいトレーニングができているのはありがたいことだと思っています。もっともっと走っていきたい、もっともっとハードなトレーニングを積んでいきたい、まだまだ物足りない、もっともっとやっていきたい、もっともっと自信をつけていきたい、と思っています」
もっともっと、が、よどみなくあふれ出てくる。森脇だけではなく、チーム全体を見渡してもその思いが強くなっていることを感じているという。
「うまくなりたい、このチームを強くしたい、オレがレギュラーになってやる、という気持ちがあふれているんです。このスタンスを1年通して、みんなで続けていきたい」
昨季、勝ちきれなかった後悔が背景にある。
「サッカーはやっぱりみんな同じ方向を見ていかないとうまくいかないんです。去年はそういう浮き沈みが激しかった。僕自身もいい方向に行くようにアプローチしなければいけない立場だったんですけど、難しさはありました。それが最後に崩れた要因でもあります」
だから、みんながチームのために自分を出していこうとするチームの空気感が頼もしく思えるのだ。
「今シーズンは躍動感あふれるサッカーをしていきたいと思います。攻撃にも厚みを出して多くの選手が絡んでいくサッカーを監督が作り上げたいと言っていて、ミスを恐れずにどんどんチャレンジしていけと言ってくれます。だからみんな、怖がらずに前に前にとアクションしていけるんです。去年もいい試合はあったけれど難しくなったのは、連動性に欠けたりボールを受けたがらない場面があったからです。今シーズンはそれをなくしていこうとトライしています」
改革は順調に進んでいるようだ。これをシーズンの最後まで続けて、高めていかなければならない。
「いまの雰囲気、みんながギラついている目を1年間、通して見せていきたいですね。そうすることによってJ1が近づくなと思います」
誰もが燃えるような思いを抱き、プレーで表現するという最高のサイクルに入っている。開幕が待ち遠しい。
「活気に満ちた情熱的なサッカーをスタジアムでお見せできるように、一つひとつ積み上げていきたいなと感じています」