明治安田生命J2リーグの行方が分からなくなってきた。徳島ヴォルティス、アビスパ福岡、V・ファーレン長崎のうち1チームだけが脱落するサバイバルレース。優勝&昇格争いの中、前寛之と仲間たちは「理想形」にたどり着いた。

上写真=キャプテンとして先頭に立つ前寛之。ついに「王手」だ(写真◎J.LEAGUE)

「内容に結果もついてきた」

 J2は残り2試合。徳島ヴォルティス、アビスパ福岡、V・ファーレン長崎が争う優勝と昇格の行方は混沌としている。ただ、それは周りの見方。選手にしてみれば、すべて勝つだけだから、極めてシンプルだ。

「この時期であれば、どの試合でも勝ち点3が必要です」

 そう淡々と語るのは、アビスパ福岡のキャプテン、前寛之だ。J2第40節京都サンガFC戦は攻守にはまって2-0の完勝だった。ただ勝つだけではなく、狙い通りの戦いの末の勝ち点3だから、その価値は計り知れない。

「必ず取りたい試合でしたし、どこが相手かというよりも勝ち点3を拾うことを考えました。前半からいい形だったし、後半に点が入って、追加点が取れて、クローズもしっかりして、理想形というかいいゲームができたという感想です」

 最終局面に来て理想の戦いができるということそのものが、チーム力の高まりをはっきりと示す事実になる。

「相手の攻撃スタイルもありましたけど、相手ゴールに近いところから守備をはめていくこと、その連動性、ボールが取れたときに相手コートで長い時間、ボールを持ってゴールに迫ること、それがうまくできたと思います」

 長谷部茂利監督が植えつけてきたディテールが次から次へと表現できていく実感。残り2試合に向けて、この自信は大きい。

「内容に結果もついてきたので、昨日(京都戦)も入れてあと3試合しかない中でああいう勝ち方ができて、スタイル的には愛媛も(京都と)似ているチームなので、いいイメージを持ちながら次に向かえると思います」

 京都戦の勝利、そして徳島が引き分け長崎が勝ったという第40節の結果を受けて、昇格へ「王手」となった。ここから愛媛FC、徳島ヴォルティスが行く手を阻むが、最短では12月16日、福岡が愛媛に勝って、長崎がヴァンフォーレ甲府に引き分け以下であれば、J1昇格が決まる。

「うれしい反面、どうなるかという不安もありますし、優勝を狙える位置にいるのでポジティブな気持ちを持って過ごせるようにしようと心がけています」

 表情がまったく変わらないあたりは、落ち着き払っているのだろう。ピッチの上の印象と同じだ。

「もちろん勝ちというところを目標に、勝ちをつかまなければいけない試合であることは間違いありません。その先に他会場の結果がついてくるので、僕たちは目の前の試合へ、そしてまた次に、という風に戦っていきます」

 一戦必勝。昇格に王手をかけたいまでも、それは変わらない。


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