東京ヴェルディの永井秀樹監督は、昇格を争うV・ファーレン長崎との明治安田生命J2リーグ第40節で19歳のセンターバック、馬場晴也を起用した。堂々のフル出場も、本人は自らに「ゼロ点」の評価を下した。その理由は?

上写真=19歳とは思えない貫録ある風貌。馬場晴也が堂々とデビューした(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月13日 J2リーグ第40節(@味スタ:観衆4,754人)
東京V 0-2 長崎
得点者:(長)角田誠、大竹洋平

「もっと体をぶつけていれば」

 永井秀樹監督はジュニアユースから東京ヴェルディ育ちの馬場晴也を、キックオフからピッチに送り込んだ。相手のV・ファーレン長崎は3位でJ1昇格を激しく争っているだけにタフになることは必至のゲームで、19歳のセンターバックに期待を寄せた。

「Jのデビュー戦ということで多少の緊張感はあったと思いますが、まずまずよくやってくれたと思います。次に向けてさらにパフォーマンス、レベルを上げていけるように、前向きに取り組んでいってほしい」

 指揮官は90分を好意的に振り返ったのだが、当の本人はまったくの逆。

「チームの勝利に貢献できるようなプレーをしようと思って試合に臨んだんですけど、ゼロ点に近いパフォーマンスでした」

 自分に向けてピシャリと言い放った。特に、2つの失点に絡んだことがその理由だ。センターバックだから仕方のないことだが、それを良しとはしない。

「2失点とも自分が絡んでしまいました。失点に絡まないように、1点目は体をぶつけたり2点目はもっとシュートに寄せていくように改善する部分がたくさんありました。明日からの練習で一日一日を大切にしたいと思います」

 28分の1点目は東京Vから見て右サイドからのCKに、中央で競り合ったものの角田誠にヘッドで流し込まれた。「(角田が)入ってくるのは分かっていたので、もっと体をぶつけていればやりにくい形でのヘディングになったと思う」と悔やむ。32分の2点目はこぼれ球を目の前で大竹洋平に拾われ、つま先で軽く浮かしてすかさず放たれたボレーシュートに寄せきれなかった。

 ゼロ点を50点に、100点にするにはどうすればいいのか。

「球際の部分はいままでのユースのときとは全然違いました。もっともっと強く意識を持ってやっていかなければいけないと思います」

「もっと自分が攻撃の起点になって、背後へのボールを効果的に出せれば、前半はもっとチャンスが増えていたんじゃないかなと思います」

 守備ではさらに強度高く、攻撃では最終ラインからチャンスメークを。デビュー戦で見えたものは確かにある。

 レギュラーの座は同じ学年の藤田譲瑠チマに先につかまれたが、この「90分のゼロ」から始まる馬場の物語が楽しみだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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