上写真=今年から福岡の指揮を執る長谷部茂利監督は、いきなり昇格達成なるか(写真◎J.LEAGUE)
「少しのこと、小さなことが勝敗に影響してきます」
12月13日にホームで京都サンガFCと戦って、中2日で愛媛FCとのアウェーゲーム、そして中3日で20日に首位の徳島ヴォルティスとの最終節を戦うのが、アビスパ福岡の日程だ。
長谷部茂利監督は以前、最終節が徳島との対戦であることについて「決勝戦になればいいと思います」と話していた。つまり最後の最後の直接対決で勝った方が優勝できる状況に持ち込むということだ。残り3試合の時点で勝ち点差は5あるので、福岡の立場からすれば一つも落とさずに追いかけるしかない。
すべてが決まる運命の1週間、その最初の相手、京都について長谷部監督はこんな風に表現する。
「自分たちの戦い方を少し変えてでも相手を研究していますね。メンバーも献身的にプレーする選手をチョイスしているようにも感じます」
京都はすでに實好礼忠監督の今季限りでの退任が発表されているので、選手たちが最後の花道を飾ろうとする意識が高まるのは容易に想像できる。難しい戦いになるのは目に見えている。だがもちろん、それを上回るための準備はできている。この7試合で負けはないが引き分けが4つ。勝ちきれないというよりは、進歩の過程にあると長谷部監督は見ている。
「状態は悪くはありません。ただ、自分たちで防げる失点が防げていなくて、攻撃でも取れそうなところで取れているところもあれば取れないところもあって、残り3試合で修正して臨めると思います」
その攻撃の部分では、速攻に加えて多くの選手が有機的に連動して攻めていくことができるようになったと選手たちが話していて、長谷部監督は続けていたことが実になりつつあると評価している。
「リーグが再開してからは長い時間をかけて練習はできていないのですが、攻撃の部分がようやく来たかな、と。最初からやっていますけれど、時を重ねてできるようになったと思います。選手たちが自分の中で改善を図ってプラスアルファを出してくれていて、そういう場面ができています」
不規則な、長いようであっという間のシーズン。福岡で1年目の指揮となる長谷部監督にとっては、選手たちの成長に改めて自信を感じる時間になった。
「頼もしい、成長したな、もともと持っていたものを出しているな、という感じです。緊張していないですし、肝が座ってきたな、と。この緊張感で試合ができることを望んでいたわけで、いいプレーでいい表現をしてくれれば、いい結果につながると信じているので、つかめると思います」
選手たちへの全幅の信頼は揺るぎない。それが福岡の最大の強さかもしれない。
「力の差はない中で、少しのこと、小さなことが勝敗に影響してきます。選手はそれを分かっていて、実行できるというところまできています」
あとはピッチの上で選手たちが表現するのみ。長谷部監督は残りの3試合も、これまで通り選手が気持ちよくピッチに飛び出していけるように導いていく。