11月7日の唯一のゲームは、明治安田生命J2リーグ第32節の東京ヴェルディ対徳島ヴォルティス戦。首位の徳島は後半に押し込まれたが、終盤にPKを獲得して勝ち点3をプラス。昇格レースのライバルにプレッシャーをかけた。

上写真=決勝のPKを決めた岩尾憲がベンチメンバーと喜ぶ。厳しいアウェーゲームを勝ち切った(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月7日 J2リーグ第32節(@味スタ:観衆5,181人)
東京V 1-2 徳島
得点者:(東)藤田譲瑠チマ
    (徳)清武功暉、岩尾憲

画像: ■2020年11月7日 J2リーグ第32節(@味スタ:観衆5,181人) 東京V 1-2 徳島 得点者:(東)藤田譲瑠チマ (徳)清武功暉、岩尾憲

永井監督「勇気を持って戦ってくれた」

 どちらもボールをしっかりとつないで前進していく似た者同士で、東京ヴェルディの永井秀樹監督が試合前に「主導権の取り合いになる」と予言したゲーム。まさにその通りの展開になった。徳島ヴォルティスのリカルド・ロドリゲス監督が試合後に「どちらに転んでもおかしくなかった」と振り返ったように、引き分けのままでも、あるいは東京Vが勝ってもおかしくないような緊迫した90分となった。

 序盤は、徳島が首位の貫録を示してペースを握る。GK上福元直人を起点として相手を自陣深くまで誘い込み、スペースを広げておいてから間を使うパターンで試合をコントロール。選手同士の距離、角度、人数のかけ方で東京Vを上回った。

 18分の徳島の先制ゴールは、相手のミスから。西谷和希のシュートブロックからこぼれたボールを福村貴幸がクリアしたのだが、これが藤田征也に渡ってしまった。藤田のクロスに対してニアで垣田裕暉がDF2人を引きつけておいて、中央でフリーになっていた清武功暉がワンタッチで押し込んだ。

 試合の面白みが増したのは、43分に東京Vが追いついたから。徳島の組み立ての小さなズレを藤田譲瑠チマが突いて奪い、前線の端戸仁に預けると、そのまま右へダッシュ。リターンパスをもらい、きれいにGK上福元を抜いてゴール左に流し込んだ。

 同点ゴールの勢いもあって、後半キックオフから東京Vの足がよく動いた。徳島のパスミスも増え、それを見逃さずに奈良輪雄太、若狭大志、山下諒也、佐藤優平らがゴールに迫っていく。しかし、どうしても1点が遠い。

 すると、徳島が一瞬で試合を決めた。82分にピッチに送り込まれていた小西雄大が左サイドへロングパス、西谷が受けてゴールに向かったところで、寄せてきた若狭と高橋祥平の間を通す浮き球のパスを狙った。これが高橋の右手に当たってPKに。キャプテンの岩尾憲が「気持ちの要素が大きかった」と思い切りよくGKマテウスの手を弾いて左スミに蹴り込んで、86分の決勝ゴールとなった。

 永井監督は疲れ切った表情ながら「現段階での首位である徳島さん相手に、スタートから勇気を持って戦ってくれた」と選手を労った。「立ち上がりで想定した並びと違ったので、給水タイムに立ち位置を含めて修正を加えていい時間が増えました。後半も前から奪いにいくところ、最後の崩し含めて選手たちはよくやってくれましたが、このサッカーを志向する上で避けては通れない、乗り越えなければいけない最後の決めきるところを、またさらに質を上げてやり続けるしかない」と1点の重みを改めて痛感した90分となった。

 徳島は昇格へ向けて大きな勝ち点3を獲得。ロドリゲス監督は「運良くPKを取って勝てましたが、ヴェルディはいいチームだったのでどちらが勝ってもおかしくない試合でした」と相手をリスペクト。その上で、小西の投入については「中長距離のパスを出せるので背後を狙おうと考えて、それが形になりました」として、まさにPK獲得のきっかけになった1本のパスで交代策がはまった。

写真◎J.LEAGUE


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