11月4日、明治安田生命J2リーグは第31節が開催され、アビスパ福岡は水戸ホーリーホックとケーズデンキスタジアム水戸で対戦。前半5分に増山朝陽がゴールを決めたが、その後は守りの時間が続いた。最終ラインで存在感を放ったのは、今季初出場のカルロス・グティエレスだった。

上写真=最終ラインで奮闘し、勝利に貢献したカルロス・グティエレス(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月4日 J2リーグ第31節(@Ksスタ:観衆1,737人)
水戸 0-1 福岡
得点:(水)なし
   (福)増山朝陽

大ケガからの復帰戦。「特別な日になりました」

 来日したばかりのスペイン人センターバックを悲劇が襲ったのは、まだシーズン開幕前の1月26日。練習中に右ヒザ前十字靭帯損傷の大ケガを負った。スペイン2部リーグのヌマンシアなどで活躍したカルロス・グティエレスが、Jリーグ初挑戦への準備を進めていた矢先のことだった。

「自分にとっては、今年は本当に難しいシーズンの始まりでした。大ケガをして、手術をして、リハビリして、長い期間チームから離れました。それでもチームメイトだったり、チーム全体が自分を支え、サポートしてくれました。だから、何とかピッチで恩返ししようという思いもありました」

 それからおよそ9カ月後、ついにその日が訪れた。11月4日、アウェーの水戸戦でスターティングメンバーに名を連ねた。

「今年はなかなかトレーニングもできないスケジュールの中で、今日を迎えたんですけれど、それでも自分の思っていたようなプレーもできました。試合勘はまだまだなところはたくさんありますが、今、自分の持っている力、できる範囲ではすごく仕事をできたんじゃないかなと思います」

 福岡の選手の中でもひときわ大柄な背番号4は、上島拓巳とセンターバックのコンビを組んだ。前半早々に増山朝陽が先制ゴールを挙げた後は、192センチの長身と手足の長さを生かして、相手の攻撃を跳ね返し続けた。そして、失点を喫することのないまま、タイムアップを迎えた。

「今日は(日本で)初めての試合だったので、周りに助けてもらうときも多かったし、周りともよくコミュニケーションを取れていました。自分自身もチームに貢献して、勝つことができたので、本当に素晴らしい試合だったと思います」

「自分にとってはすごく難しいシーズンになっているけれど、それでもこうしてピッチに立って、チームに貢献できたことは素直にうれしいです」

 そして、「ずっと忘れないであろう、特別な日になりました」とも付け加える。実は、この日はカルロス・グティエレスの29度目の誕生日。試合後には、Jデビュー戦の勝利と誕生日を同時に祝ったことを明かす。

「自分にとっては誕生日という特別な日にチームに貢献して、なおかつ勝つことができた。本当にチームメイトに感謝の言葉しかないです。たくさん助けてもらって、今日はお祝いもしてもらって、それで勝利することもできて、最高のデビュー戦でした」

「試合が終わってから、ロッカールームで『ハッピーバースデー』(の歌)を歌ってもらって、たくさんのチームメイト、チームスタッフに祝ってもらいました。歌った後に自分が挨拶をしたときは緊張したけれど、何とか挨拶できました。みんなへの感謝の気持ちを強く持っています。やっとチームの一員になれたと実感しました。本当にチームメイト、チームスタッフ、チーム全体には感謝しかありません」

 J1昇格を目指す福岡に、期待のスペイン人DFが待望の復帰を果たした。カルロス・グティエレス本人のみならず、チームにとっても「特別な日」になったことだろう。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE


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