上写真=Jリーグデビューから、その先へ。デューク・カルロスは高いモチベーションで練習に励む(写真◎石倉利英)
10月は全試合ベンチ入り
10月29日の全体練習終了後、なかなかクラブハウスに戻ってこない。ファジアーノ岡山MFデューク・カルロスは居残り練習で1時間近く、利き足の左足ではなく、右足でのシュートを繰り返していた。
「左利きで左サイドにいると、左足のシュートしかないと思われる。もっとオプションを増やしたくて、右足が苦手なので練習していました。さすがに、このままではまずいと思って」
苦笑いを浮かべつつ、表情には充実感が漂う。プロ入り3年目の20歳にとって今年の10月は、まさに実りの秋となった。
川崎フロンターレのアカデミーで育ち、2018年にファジアーノ岡山に加入。過去2年間の公式戦出場は18年の天皇杯1試合だけで、Jリーグではデビューはおろか、ベンチ入りもできなかった。
今季も9月までベンチ入りゼロだったが、10月4日の明治安田生命J2リーグ第24節で初めてベンチ入りし、試合終了間際に交代出場。公式記録で1分間ながらも、ついにJデビューを果たした。
その後もベンチ入りを続け、第26節は交代出場で5分間、第28節は12分間、前節は14分間プレー。徐々に出場時間を伸ばし、経験を重ねている。プレー内容は「本当に満足していない」と厳しい自己評価だが、「試合に向かっていくメンバーの中で、常に自分の力を出すために全力を尽くせたことが大きな財産。もっと信頼して使ってもらえるように頑張りたいと思う、いいきっかけになった」と10月を振り返った。
主に左サイドで見せるスピードに乗ったドリブル突破が持ち味で、「何度か試合で出せたのはよかった」と手応えと得ながらも「すべてが、まだまだ足りない。言い始めたらきりがないくらい」という。居残り練習で取り組んだ右足シュートに加え、守備も課題の一つと認識しており、この日の練習でも有馬賢二監督から指摘される場面が何度かあった。「岡山は守備を徹底してやるので、いざ試合に入ったときに水を漏らしてはいけない」と語り、より高いレベルへの成長を期す。
11月1日の次節は、ジェフユナイテッド千葉と対戦する。「与えてもらっている時間の中で結果を残さなければ、あとはないと思っている」と自身の危機感についてコメントしたデューク・カルロスは、それでも「試合で使ってもらえるようになってからは、もっと使ってもらいたいという思いが強くなっている」ときっぱり。初スタメンも見据えながら、より多くの出場機会と、勝利への貢献を目指している。
取材・写真◎石倉利英