ジェフユナイテッド千葉の守護神が全試合フルタイム出場を続けている。新井章太は最後尾から常にチームと戦ってきた。前節でFC琉球に1-0としびれる「守りの勝利」を果たした立役者は、冷静にここから先を見据えている。

上写真=しっかりと睡眠をとって体の疲れを取り除くことができているという(写真◎ジェフユナイテッド千葉)

「持たせている」という感じ

 J2第22節の相手、FC琉球は第18節で大宮アルディージャから5得点、第20節で水戸ホーリーホックから3得点、第21節の松本山雅FCから6得点と、爆発的な攻撃力が脅威だった。ジェフユナイテッド千葉のゴールを預かる新井章太としては、なんとしてでも抑えたいところだった。

 結果は1-0。2月の開幕戦で対戦したときと同じスコアで、見事なクリーンシートだった。

「正直、開幕戦と似た感じになりましたけど、今回は『持たせている』という感じがありました」

 いまのチームへの信頼はこの一言で十分かもしれない。圧倒的に攻められているように見えて、心の中は平然だった。相手にボールを持たせているという安心感によってゴールに鍵をかけた。

 これで、この4試合で3勝と、また上向き始めた。

「愛媛戦(第19節○2-0)からやっぱり躍動感がまったく違うな、という印象が、後ろから見ていてあるんです。若い選手も試合に出たかったんだという気持ちを感じましたし、守ろうとする意識、そして攻撃で出ていこうとする意識が、徐々にですけど変わってきていると思います」

「意識の問題」はこれまで尹晶煥監督も多くの選手も千葉に足りないものとして何度も指摘してきた。目に見えにくいだけに難題だが、ようやく改善に向かいつつある。全試合フルタイム出場を続け、最後尾から仲間の戦いを見てきただけに、その変化がよく分かるのだ。

「一気に試合をこなしたというか、流れに乗れないときにもすぐに試合が来る日程なので、リズムをつかめないまま、また試合に向かわなければいけない状況でした。こういうときはこうしていこう、という話が、試合の中でしかできなかったのが難しかったんです。ターンオーバーした試合も何試合かあって、前節の反省を生かすところでもメンバーが違うから、外から見ているものとピッチの中で感じるものは違うと思うので、その部分で継続が難しいところはありました。でも、勝ち切れることで自分たちがどういうスタイルでやってきたか分かってきました。ここまでは悔しい結果が多かったけれど、後半戦はしっかり結果にもつなげていきたいなと」

 なにしろ、すべての試合のすべての時間を体感しているのは自分だけなのだ。それだけ責任も重いが、大黒柱の疲労も心配になる。

「実際には体力的にというよりは頭が疲れていますね。そこをクリアにすることを最優先にしています」

 でもそれも、試合に出ているからこその幸せだ。心地よい疲れとリフレッシュを繰り返して、鉄人守護神は今日も堂々とゴール前に立ちはだかる。


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