上写真=初ゴールに安堵した福岡。ここからどんどん決めていきたい(写真◎KYOTO.P.S.)
ずっと呼び続けていた
右足でしっかりインパクト。福岡慎平の今季初ゴールはJ2第21節の栃木SC戦、76分に誕生した。
ゴール右から谷内田哲平がするするっとドリブルでペナルティーエリアに入ってくる。ニアに入り込んで待っていると、おあつらえ向きの横パスが送られてきた。右足のコンパクトな振りでしっかりとボールを叩くと、GKの脇を破ってゴールを割ってみせた。
「ヤチ(谷内田)がうまく運んでくれて、シュートを打つかなと思ったんですけど、ずっと呼び続けていたらいいパスが来ました。あとは蹴り込むだけでした」
18歳のルーキーのドリブルから20歳のアタッカーが仕留める。フレッシュな才能がクロスオーバーしたこの一撃は、栃木を2-1と逆転する貴重なゴールだった。
ほかにもう一つ、感想は「ほっとしています」だった。これが今季初ゴール。リーグ戦でちょうど折り返しとなる前半戦のラストマッチでようやく決まった安堵感だ。
「時間がかかったと思いますし、ここまでの前半戦で決められるチャンスは何本もありました。そういうところで決めきれないのが自分の課題ですけど、今回ホームで取れて自信になりました。ここからもっと得点と勝利を積み重ねるようにしていきたいと思います」
こうして3-2の勝利に貢献したのだが、残り2得点はピーター・ウタカが決めている。福岡自身は17試合でようやく初ゴールだが、ウタカはすでに20試合に出場して15ゴール、J2得点ランクのトップを走っている。
「ウタさんはゴール前での余裕がすごいなと感じています。若手は見習わなければと思います。ゴール前こそ冷静に落ち着いて余裕を持ってプレーすれば、シュートやラストパスの質が上がってくると思うので」
最高のお手本が目の前にいるのは心強い。栃木戦では最前線に立つそのウタカをサポートするように、福岡と谷内田の若い2人が2列目に入った。「ウタさんとは近い位置でやろうと思っていました」と攻撃での濃密な関係性を意識した。
「ヤチと僕が高い位置でボールに関われていたのが良かったと思います。サイドが持ったときには動きすぎずに真ん中でもらって、ターンして仕掛けるように監督にも言われていて、それができてよかったと思います。これを続けてやっていきたい」
まずはウタカの近くで。そして動きすぎずに。この2つが攻撃陣の活性化でポイントになりそうだ。
そして、もう一つ。
「ウタさんをうまく使いながらも、相手がウタさんについていけば自分があきます。そのときに決め切るようにしないと、チームが苦しくなりますね。シュートやラストパスの質が大事になってくるし、ウタさんだけじゃなくてほかの選手も決めれば、もっと強くなります」
ウタカに頼り切りになるのではなく、ウタカを利用して点を取る。そんな賢さがこれからの福岡のゴール量産を支えてくれるはずだ。