上写真=最後まで守り抜くことで、終盤に失点してきた忌々しい記憶を消していく(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
「やりやすいようにしてくれれば」
ジェフユナイテッド千葉は第19節愛媛FC戦と第20節ファジアーノ岡山戦で連勝として、調子を取り戻し始めている。
どちらの試合も開始早々に先制することで優位に試合を運べた、という共通点があるが、もう一つ、「鳥海晃司が先発に帰ってきた」ことを挙げてもいいかもしれない。愛媛戦では無失点、岡山戦でも84分にゴールを許したもののこの1点のみと、守備の粘りをもたらしている。しかも、岡山戦では自身初ゴールも決めている。
岡山戦は後半に相手の攻撃の圧力が増してきて、耐える時間が長くなった。「シュートを打たれるシーンは多かったので、ゴールから遠ざける、しっかり前に守備をする、というところは意識していました。下がりすぎてペナルティーエリアの手前で守っていたら何らかの事故があるかもしれないので、全体として前から行くことは意識したいです」「相手のシュートゾーンに体を投げ出そうと話していたので、そういうところ出たと思います」と積極守備でなんとかしのぎきった。
今季はアディショナルタイムに失点することが多く、もはやトラウマになるほど。この試合でも最後まで危険はあった。しかし、「2-0で行ければよかったんですけど、失点してしまったところは切り替えてやっていました。ホームで追いつかれたりするシーンが続いていたので、集中力高く守れたのは良かった」と、ネガティブになりがちなメンタルを克服する試合の締め方ができたのは大きいだろう。
コンパクトに陣形を保って高い位置で守備ができれば勝利に近づく、という真理は変わらない。最終ラインを司る立場としては「前線の選手がプレスに行ってくれますから、後ろはついていきながら、押し上げてさらに前に行かせる意識でいます」と引っ張られつつ押し出しつつの相乗効果を実感する。
その点では、チームの軸になるセンターバックとボランチの4人の関係性がキーになってくるだろう。「前線が行けないのに後ろが上がってしまえばボールホルダーがフリーになって、後ろを狙われることになります。そういうシーンをなくすために、僕たちがボランチに声をかけて、ボランチがさらに前に声かけるというところは、しっかりできていると思います」というコミュニケーションを、堅守の第一歩と位置づける。
あとは、安田理大との関係だ。左サイドバックとして攻撃参加が得意な安田をいかに気持ちよくプレーさせるかは、隣に立つ鳥海の重要な仕事の一つかもしれない。
「ミチさんに関しては、攻撃がストロングですから上がるときには上がってもらって、僕が上がったあとをカバーすればいいと思っています。もう、ミチさんがやりやすいようにしてくれればいいんです」
安田からすれば、なんと心強い後輩の言葉だろう! そういえば、岡山戦で決めた自身の初ゴールは、安田の左からの完璧なクロスに合わせたものだった。もしかするとあれは、安田からの最高のお礼だったのかもしれない。