上写真=連勝で意気上がる千葉。山下は貪欲にゴールを目指して練習に励む(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
拾ってもらったクラブに…
ジェフユナイテッド千葉のストライカー、山下敬大が自分自身を追い立てる。
「試合に出ているからには100パーセント以上で戦っていますが、どうしても決定機で決められない弱さがある自分に対して悔しいんです」
「自分に対しての不甲斐なさは感じています。でも、下を向くことなく点を取ることがチームにも自分にも大事なこと。勝つためにどういうプレーをするのか、犠牲心を払うことが勝つために大事なことだと思っています」
千葉のフィールドプレーヤーでは3番目に多い17試合1227分に出場して、3ゴールを挙げている。これは川又堅碁の5ゴールに次いでクレーベと並ぶ数字なのだが、8月2日の第9節ザスパクサツ群馬戦で決めて以来、出場した9試合で得点がないのだ。
「試合に使ってもらえるのに、得点という結果を出せていないのは事実です。常に狙っていますけど…」
自分に厳しく喝を入れているが、とはいえ、直近の第20節ファジアーノ岡山戦で決めたアシストは鮮やかだった。開始わずか2分、右サイドのタッチライン際で持った矢田旭が前を向いたその瞬間に斜め前に出ていってサイドバックの裏側のスペースで受けると、ワンタッチで右足でていねいにゴール前に送って、川又堅碁の先制ゴールを導いたのだ。
「落ち着いてできましたね。旭さんのパスが素晴らしくて、中を見たら堅碁さんがディフェンダーの間を取っていてくれたので、流し込んだだけです」と謙遜気味に周囲を立てるが、「毎試合、距離感は意識していて、この前の1点目は思い通り、狙い通りのゴールが生まれました。右のポジションで旭さんがためてくれて、僕と堅碁さんが近い距離で間で受けたり裏で受けたりといい距離感でできている。手応えはあります」と納得のゴールだった。
「フォワード2枚とサイドバック、ボランチの4人でクロスからのシュートを練習しているので、そういうイメージを持ちつつ、ディフェンダーの動きを見てスペースがあったので出ていきました。あまり意識しない流れではありましたね」
つまり、裏へ抜けたあのプレーは決められたパターンをなぞったのではなく、自然に体が動いたアクションだったということだ。コンビネーションが高まってきたことを示すものではないだろうか。
これで2連勝。ここからの進撃のために次に破らなければいけないのは、プロのキャリアをスタートさせ、昨年まで所属したレノファ山口だ。
「練習生として参加して拾ってもらったという形で、プロのスタートラインに立たせてくれたチームです。2年間でダメなところを修正して一回り大きくしてもらったクラブなので、本当に感謝しています」
「ある程度できると思ってプロに入りましたけど、ベースの部分を叩き込まれました。止めて蹴るということを学ばせてもらいました。パスにしろトラップにしろシュートにしろ、まだまだだけど、成長させてもらった2年でした」
だからこそ、恩返し弾を、とつい望んでしまうのは、あまりにも安易だろうか。ただ、本人は冷静そのもの。「攻守に渡ってワクワクするようなサッカーをする力のあるチームです。チャレンジャーの気持ちで臨みたい」「気負いすぎることなく3連勝を目指します」と誓うのだった。