明治安田生命J2リーグでジェフユナイテッド千葉が苦しんでいる。5試合勝ちなしで臨んだ第18節のアルビレックス新潟戦でも1-3の完敗。そんな中で、J2通算300試合出場を達成したベテランがチームを見据えていた。

上写真=工藤はJ2通算300試合出場という偉大な足跡を残した(写真◎ジェフユナイテッド千葉)

「怒られるかもしれないけれど」

 3連敗、1引き分けのあと、2連敗。ジェフユナイテッド千葉が苦しんでいる。大幅なローテーションでコンディションを整えながらの戦いになっているが、尹晶煥監督も選手たちに「プロとして戦わなければ」と厳しく指摘し、改めて原点を見直すタイミングだ。

 こういうときには「経験」が大きな力になるかもしれない。明治安田生命J2リーグ第17節の京都サンガ戦で交代出場、J2通算で300試合出場を達成したのが技巧派MF工藤浩平だ。J1でも161試合でプレーしているから、「四百戦錬磨」である。

「これまでもそうでしたが、一つひとつ、自分らしくやっていきたい」と自然に構えるが、勝利から見放されているチームの現状には「優しさ」が足りないと感じている。

「いい形で奪ったときは自然とカウンターでシュートまで行けていますけど、苦しい状態で何とか奪ったあとに、(ボールに関わっているのが)取った人ともらう人だけになることが多いと思います。優しさというか、その選手を助けてあげようとか、一つひとつのサポートの質のところですね。もちろん、選手がやっていないことはないですし、守備で走って奪ったあとにもうひと頑張りというのは大変だけど、その苦しいときに周りを助けてあげる動きが大事だと思います」

 残念ながら今季はまだ4試合の出場に留まっていて、先発はゼロ。途中から前線に入って、そのサッカーセンスと技術で流れを変える役割を求められている。「優しさ」を自らが発揮する時間も限られてはくるが、だからこそ自分だけの特徴を生かすことを意識する。

「基本的にFWは(山下)敬大や(川又)堅碁、クレーベといったように、背が高くて体を張る選手が出ていますが、僕がそこで出るときは、相手の嫌なところで受けて前と後ろのつなぎ役としてプレーしていますね」

 体の強い選手を前線に2枚、置くことによってパターン化されがちな攻撃に、工藤が変化をつけることができるのだ。166センチと小柄な体格が逆に武器になる。

「オシムさん(元千葉監督)や大木(武=現ロアッソ熊本監督)さんには、相手に当たらないようにプレーするということを教わりました。ボールをもらう前にしっかり周りを見て情報を得ておくことは意識しています。ボールをもらえなくても、次に役立つおとりの動き、相手を釣りだすこともそうですね」

 それは、尹晶煥監督が攻撃陣に求める「もっとアイディアを」の部分に合致するのではないだろうか。

「ある程度の形がある中で、監督ももっと自由にやっていい、アイディアを持って、と選手に言っています。凝り固まりすぎないというか、外からのクロスよかったらそれだけになりがちだったり、カウンターでシュートで終わるのがいいというシーンがあっても、時間によっては判断を変えてもいいとか、止めてから蹴るというリズムが多くて、ダイレクトで見えていなところに出すとか、説明が難しいんですけど、言われたことだけではなくて、失敗したときに怒られるかもしれないけれど、自分を信じてプレーすることが大事です」

 そして、胸を張る。

「自分はそういうところで生きてきましたし、得意な部分でもあります」

 シーズンはまだまだ続く。工藤のひらめきがチームを変える場面はきっとやって来る。


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