上写真=決勝ゴールを挙げた柳育崇(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月6日 J2リーグ第17節(@Ksスタ:観衆2,001人)
水戸 1-2 栃木
得点:(水)アレフ・ピットブル
(栃)田代雅也、柳育崇
「自分に与えられた役割を全うできるように」
北関東ダービーのドラマは、最後の最後に待っていた。後半45+1分に途中交代でピッチに入った柳育崇が、その3分後に値千金のヘディングシュートを決め、チームを勝利に導いた。
「瀬川(和樹)選手がドリブルしている方向を見て、きっとファーサイドにふわりとしたクロスを上げるだろうなと思って(ゴール前に)走り込んだら、予想通りのボールが来ました。あとは決めるだけでした」
隣県の水戸とのダービーマッチ。両者の本拠地である栃木県グリーンスタジアムとケーズデンキスタジアム水戸は、車で1時間ほどの距離だ。互いにとって、特に負けられない一戦だが、栃木は2014年11月15日以来、およそ6年間も水戸に勝てていなかった。
この日も前半に先制点を奪われる苦しい展開を強いられる。
「うちの狙いも相手に研究されているなと、ちょっと感じていました」
それでも、ベンチから戦況を見つめていた柳は、冷静に勝機を探った。
「最後の時間帯になったら、相手の守りがちょっとゆるんでいると感じました。そこはチャンスだなと」
そして、後半アディショナルタイムに大島康樹と交代してピッチに入る。本来はDFながら、前線へと走っていった。
「(ゴールを)狙っていました。みんなが走って、戦ってくれていたので、僕は残り数分で出て、あとは結果を残すしかないなと。みんなの頑張りを無駄にしてはいけない。なんとしてでも点を取って、チームを勝たせたい思いがありました。それが結果に出て、うれしい。ここで勝ち点3を取れたのは、チームとしてもすごく大きいと思います」
途中投入の伏兵が、数分間の出場でチームに勝利をもたらした。似たような場面は8月12日にもあった。J2第11節の岡山戦でも、相手に先制され、追いつき、後半アディショナルタイムに交代出場した柳が頭で決勝点を決めた。まさに『仕事人』だ。
「自分に与えられた役割をもっと全うできるように頑張ります」
仲間の思いを背負って栃木に勝利をもたらすため、柳はこれからも与えられた出場時間に全力を注いでいく。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE