上写真=北九州戦に向けてトレーニングする小島(写真◎JEF UNITED)
チャンスが来たときに100%で貢献したい
小島は今、転機を迎えようとしているのかもしれない。7月までの今季出場時間は1分間のみだったが、8月に入ると12日の松本山雅戦で先発を果たす。中3日で迎えたジュビロ磐田戦ではベンチに戻ったものの、19日のV・ファーレン長崎戦では再びフル出場を果たした。
指揮官がターンオーバーを採用する中で、自分自身も出場機会を得る5連戦になったが、「3勝2敗は満足いく結果ではない」と小島は冷静だ。再び中2日、3日で試合が続く5連戦に向けては「最低4勝はしないといけない」と目標を高く掲げた。
今季の初出場は、2-0と勝っていた90分に送り出された7月15日のJ2第5節だった。次に出場機会を得たのは4試合メンバー外となったあとであり、試合から遠ざかっていた当時の状況も含め、「つらい時期が長かったけど、そこで下を向かず、腐らずに前を向いてきたのが良かった」と振り返る。
そんな時間を経験した一方で、その壁を小島は自ら乗り越えた。「尹さんがボランチに求めていることを自分の中で整理して、それを第一に考えながら自分の良さを出せるくらい余裕が出てきた。そこは成長した部分」。今月2度のフル出場が、その証明だ。
8月最初の5連戦は、3連勝した後で連敗を喫した。前節の徳島戦は、前半のうちに先制しながら、残り15分で2点を返される悔しい逆転負け。良い流れを継続できなかった。
選手が入れ替わっても大幅な戦力ダウンを起こさないほどにチームの底上げができていると実感しつつ、小島は「上位陣との戦いで力負けしている部分がある」と率直に認める。さらに指摘するのがメンタル面の問題だ。「心の余裕がない」と、分析した。
「選手は勝ちたい気持ちを前面に出して戦っているし、勝たなきゃという思いは誰しもが強いと思う。逆に追いつかれたり逆転されたりすると、その思いがネックになるというか。自分たちはチャレンジャーとしてやらないといけない立ち位置。勝っているときや追いつかれたときの余裕のなさが、チーム全体に出ちゃっているのかな」
小島によれば、そんなチームを尹晶煥監督が今まさに変える真っ只中にある。
「尹さんはまず、勝つことの重要性を話してくれる。勝っていくことで、絶対チームは良くなる。負けて得ることはないと、特に強調して言っている。勝ち方を学ばないといけない。良いときに勝つのは必然。相手の調子が良いときや、自分たちの体が重いときにどう勝つかが、僕たちに足りない部分。その経験を植え付けようとしているのではないかと思う」
指揮官の考えをピッチで表現し、チームを引っ張るのが、小島ら経験のある選手たちの役目だろう。徳島戦では、先発選手と交代出場した選手との間に、追いつかれた事実に対する意識のギャップがあった。そのことが逆転負けにつながったと小島は指摘。「そういう感情のコントロールをすることも、自分の役割だと思う」。指揮官からの要求以外にも、自分の仕事の範囲を広げようとしている。
先月末に誕生日を迎え、28歳になった途端に歯車がかみ合い、「この5連戦で何試合が出られて、まず第一歩は踏めたという実感がある」という。その口調と落ち着きには、大人の余裕も漂う。
次の出場は次節かもしれないし、少し時間が空くかもしれない。それは分からないが、「必ず誰にでもチャンスは来ると思う。(自分は)チャンスをもらったときに100パーセントの力で貢献していきたい」。小島の余裕がチーム全体に広がったとき、千葉はさらなら高みに到達しているに違いない。
取材◎杉山 孝