上写真=今年の「最初の5連勝」は3勝2敗で乗り切った(写真◎J.LEAGUE)
「どんな相手であろうが何をされようが」
明治安田生命J2リーグは第14節で「最初の5連戦」を終えた。東京ヴェルディは5勝5分け4敗の勝ち点20で8位。シーズンの残りは3分の2あるので、ここから順位を上げていくにはちょうどいいポジションにいると言えそうだ。
とはいえ、永井秀樹監督の立場からすればそんなことを言ってもいられない。
「いまの選手のポテンシャル考えるともっとやれると思いますし、まだまだ成長できると思います。現状の勝ち点や順位については非常にコメントしづらいところですが、満足するわけにもいかないし悲観するところでもないと思います」
ミーティングでは選手たちに改めて共通認識を求めたという。
「ここまでできていたことをもう一度きちんとやろうと話しました。距離感だったり立ち位置だったり、どんな相手であろうが何をされようが、僕たちはボールを失わないという哲学は曲げないし折れない、と。前から少しプレスに来られたらもうそれに恐れをなして、自分たちでボールを持つことを放棄しがちなんですけど、そこは絶対にブレることはないし、そのストロングは絶対に残して継続して質を高めていこうと」
すぐに変わるようでは哲学とはいえない。ただ、この5連戦の5戦目となったギラヴァンツ北九州戦については、永井監督も強い反省の念を抱いている。1-2で敗れたという結果もさることながら、「反哲学」の内容になってしまったことについてだ。
「この試合の一番の問題は、体当たり勝負、フィジカルで負けた、と見ている皆さんの目に映ったことが問題だと選手には伝えました。僕たちのサッカーは、マイボールのときには相手にぶつかる必要がまったくないというのが大事なところです。つまり、ぶつかり合いになっている時点で問題があるということ。それはうちのサッカーとは違うと感じています。本当に反省しています」
相手がボールを取りに来るところをはがしながら前進して崩していくことこそ哲学で、それができなかったことを何より悔やむのだ。
「ボールを保持する時間がいつもの半分以下だったので、同じ距離を走ったとしても守備に追われて走るのとマイボールで走るのは疲労度が違います。守備に追われて走ってからマイボールになっても、もう一度定位置を取って回していく作業は、一歩、二歩、遅れてしまう。自分自身を含めて反省です」
それを、8月29日から始まる「5連戦第2幕」に生かさなければならない。ホームの京都サンガ戦、アウェーのジュビロ磐田戦、ホームの愛媛FC戦、アウェーのファジアーノ岡山戦、ホームのザスパクサツ群馬戦だ。ここで勝ち点を積み重ねておいて、以降の大逆襲に備えておきたい。
「僕の頭の中にはプランはあります。でも、プラン通りにいかないのがサッカーですからね。選手たちと一緒に、一戦一戦、目の前のことを全力でやっていきます」
「今回の5連戦で、自分なりに選手の消耗度や疲労度も踏まえて感じるところがありましたし、プランニングのところでもっと考える必要があると思いました。あとはやっぱり、もっとボールを持って支配する時間を長くしないと、という思いもより強く持ちました」
軸をぶらさずに、変化には臨機応変に。しなやかさと絶対的な哲学を携えて、東京Vは進んでいく。