上写真=堀米の復帰は千葉にとって大きい!(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
「本当の意味を探しながら」
連戦中にコンディション調整に入っていた選手が復帰することは、チームに大きなパワーをもたらしてくれる。ジェフユナイテッド千葉に堀米勇輝が帰ってきた。8月19日、J2第13節のV・ファーレン長崎戦で67分からピッチに立った。7月11日の第4節、栃木SC戦で先発して以来のプレー。「再開後はケガもあってなかなかコンディションが上がらずに乗り遅れてしまったので、ここからがスタートだと思って結果を残して上がっていくだけです」と巻き返しを誓う。
ピッチに立てない間にチームは3連勝を記録するなど、上向きになってきた。ここで堀米が注力していたのは「観察」だ。離れたところからチームを見据えながら、自分と仲間の状況を見て、考えた。
「再開後にちょっとずつずれていた部分が整ってきたイメージはあります。ディフェンスのときの距離感、(パスを)通させていい場所とダメな場所、(ボールに対して)誰が出て誰が絞るのかという調整といったところです。コンパクトさがより増してきたと思いますし、ラインを下げるだけではなくて相手がバックパスしたらラインを上げながら、しかもスペースを与えていない状況がベストだと思います。ジュビロ(磐田)戦や(松本)山雅戦でも少しずつ牽制を入れながら、ラインコントロールとコンパクトさは保たれていると思いました」
低く構える守備だけではなく、状況次第で積極的にプッシュアップを。その意識の変化がチームに安定をもたらしたと見ている。
その基盤を守りながら、これから堀米自身が組み込んでいくものはなんだろう。ここでも観察眼が生きる。
「思ったよりも中間ポジションを取っていいんだな、という感じです。バランスを崩さないとボールは回せないんですけど、その崩し方は、監督のリアクションを見ながら探していました。最初は外にいて、そこからどう変えていくかということは、この(欠場していた)期間に自分の感覚と監督の求めていることのバランスを探しながら見ていました」
こうして、「堀米2020」のストーリーは、いよいよフィードバックの章に入っていく。その一つが、これ。
「守備のときにいい位置で奪った瞬間に、いい形でドリブルできるかですね。いいポジションでカウンターに備えられるか。下がりすぎると前に出ていけなくなるので、自分のポジションを考えておかないといけないです」
守っているときに堀米がどこに立っているか。それを確認しておくことで、見ている私たちの楽しさが倍増しそうだ。
「監督からは、もう少し余裕を持ってサッカーをやっていいよと言われました。その本当の意味を探しながらやっていきたい」
尹晶煥監督からの愛情ある一種の謎かけ。余裕とは一体、何なのか。それを探し求めるプレーが堀米の最大の魅力になっていくかもしれない。