上写真=水戸戦の山下(48)の追加点に東京Vベンチも沸いた!(写真◎J.LEAGUE)
数的優位で越えていけ
5連戦の真ん中となる第12節の水戸ホーリーホック戦を2-0で乗り越えて、次は松本山雅FC戦。どちらもハードな守備が持ち味だから、東京ヴェルディの永井秀樹監督の言葉からは、水戸戦の反省を松本戦にダイレクトに反映できそうだ。
「水戸さんは、前から来て引っ掛けてプレッシャーをかけ続けるという、当初の予想通りのハードワークを掲げるスタイルを前面に押し出してきました。そういう相手に対して、こちらは正面から受けないといいますか、うまい受け方をもう少しできればよかったなと感じています」
「前からのプレッシング強度の高い相手に対して、きちんと受けずに第一波をさらりとかわして越えていくところはもう少しやりたかったですね。きちんと数的優位で越えていくだけのことですから。プラスワンで越えてプラスワンに渡す、というね」
いわゆるボール狩りを積極的に仕掛けてくる相手には、常に数的優位を作ってフリーの選手にボールを預けて突破していく、というコンビネーションを特に求めている。それはもちろん、松本戦にも有効だと考えている。
「スカウティング通りにくるなら、松本さんは守備のときは(最終ラインが)5枚になるので、きちんと押し込んで相手を下げれば半分は成功です。5枚とその前の4枚で作るブロックを崩していくのは簡単ではないのですが、ある意味でそれは我々がトライしているところ。きちんと崩せるかの完成度を計る上ではいいゲームになるのではないでしょうか」
5と4の強固なブロックを嫌がるチームは多いが、東京Vの場合はそれが自分たちのスタイルを打ち出すための最初の一歩というわけだ。自分たちの技術レベルがいまどのあたりにいるのか、シビアに見極めた上で勝利を追求する一戦になる。
そんなチームに、頼れる選手が帰ってきた。元日本代表の新戦力FW大久保嘉人。ケガで出遅れていたが、再開後初出場を水戸戦で果たした。1-0でリードした82分からピッチに飛び出していって、スコアと時間帯を考えながらのプレーで若いチームを丁寧に導いていった。永井監督も称賛する。
「若い選手だとあの時間でも水戸のプレッシャーはきついと思うだろうけど、嘉人はまったく感じていなかったと言っていました。ワールドカップや世界に行った選手ですから、試合の終わらせ方、間のとり方すべてにおいて、改めてさすがだなと」
アディショナルタイムの追加点も大久保の感性が礎になった。「ああいうところで勝負あったというか、嘉人が持っている経験値というか」と永井監督も感嘆する。
「2点目を取って仕留めたい状況で、みんな中へ中へと行ってしまって、でも相手も中を固めてきますから、引っかかってカウンターのリスクがあるわけです。そこで嘉人はもう一度、左に開いて相手の右サイドバックを引き連れていった。空いたスペースを(山本)理仁が使ってサイドバックとセンターバックの間を山下(諒也)に通してから決めたわけで、非常に良かったですね」
今季初の3連勝へ、視界は良好だ。