上写真=次こそホームでの勝利を、と尹晶煥監督は誓う(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
「積極性」でアイディアは出る
8月9日の第10節はFC町田ゼルビアに2-0で、5試合ぶりに勝利を味わった。ディフェンスの集中力が時間を追うごとに高まっていく緊迫のゲームを乗り切ったのは大きかった。攻撃面では、FKからとGKのロングキックからと、3分の間に効率よくゴールを重ねたが、さらなるブラッシュアップを計りたいというのが、尹晶煥監督の本音だ。
「前回の試合のようにパス2つでシュートという形(新井章太のロングキックのあと、山下敬大のヘッド、川又堅碁の落としから米倉恒貴が蹴り込んだ2点目)も必要ですし、相手がプレッシャーをかけてきた場合、あるいはリトリートして引いた場合で攻撃のバリエーションやコンビネーションが不足しています」
そのためには、さらなるディテールを追求していく。
「クロスを多く上げている反面、ゴール前の動き出しの部分についてもまだ足りないと感じています。そこの改善や変化は必要です。単純にプレーしてはダメで、相手も分析してくるからこそ、アイディアが必要になってくるのです」
「もちろん、選手をゲームのように扱えるなら別ですが、ピッチでは我々だけで戦うわけではないし、相手は常に変わっていきます」
だからこそ、事前にデザインしておくだけでは難しい、というわけだ。そのためのアイディアになるが、どうやってピッチで披露していくものだろうか。
「アイディアは選手のセンスも必要ですし、攻撃的な性質も必要です。選手が積極的にプレーすることで、アイディアは出てきます。選手たちのカラー、傾向というものが色濃く出てくると思います。サッカーで決まりごとはあまりないわけで、選手たちが臨機応変に使い分けながら、相手を見ながらのプレーをしていくことが重要です。もちろん、ある程度の形態を整えていますから、その中でセンスを出してくれればと思っています」
町田戦で言えば、山下と川又の2トップは空中戦に強く、米倉と船山貴之のサイドハーフが起点を作った。ボランチでも見木友哉の攻撃力は魅力的だったし、田口泰士のミドルシュートは相手には脅威を与えた。安田理大の攻め上がりもある。櫻川ソロモン、矢田旭、為田大貴が交代でそれぞれの特徴を生かしていた。ほかにも攻撃で変化をつけられる選手は揃っている。尹晶煥監督は彼らにアイディアの種が備わっていると信じるからこそ、原点である「積極的にプレーすること」に立ち返ろうと話すのだ。
次の相手は、4連敗中の松本山雅FC。「いい選手が集まっている。4連敗が信じられないくらい」とアラートを強めつつ、「相手も警戒しなければいけないが、自分たちからアクションを起こす姿が必要だと思っています」とフォーカスする場所を改めて宣言する。
そして何よりも、「ホームで続けて勝つことができていないので、どうしても勝ちたい」と強い気持ちを込めるのだ。