上写真＝千葉のエース、山下。今季3点目は豪快に突き刺した（写真◎J.LEAGUE）
■2020年8月2日 J2リーグ第9節（@フクアリ:観衆2,284人）
千葉 1-2 群馬
得点：（千）山下敬大
（群）大前元紀、小島雅也
「2点目をもっと意識しなければ」
為田大貴の言葉を借りれば、35分の山下敬大の先制ゴールは「押し込む時間が続きましたし、ゴールを取れたのは理想の展開ではありました」という最高の一撃だったのだ。
ボールをていねいにつなごうとするザスパクサツ群馬のスタイルはお見通し。迎え撃つジェフユナイテッド千葉は陣形をコンパクトに保ちつつ、山下と川又堅碁のパワフルな2トップがコースを消しながら、相手のパスを熊谷アンドリューと田口泰士がからめ取っていく。この方法が効果てきめんで、軽快なテンポのまま、先制ゴールは生まれる。
千葉のコーナーキックの流れからつないだボールを最後尾の安田理大が前線へ高々と蹴り込むと、川又が大得意のヘッドでゴール前へ、チャン・ミンギュと鳥海晃司に当たったこぼれ球を、山下がジャンプしてまっすぐ前に右足を振ってゴール左に突き刺してみせた。
「クロスと言うかアーリーが上がってきたときに、ここにこぼれるだろうという感覚があって、思い切って足を振りました」
今季3点目を振り返る山下の口調が淡々としたものだったのは、もちろん逆転負けを喫したからだ。しかも失点は、前半アディショナルタイムに与えた微妙なPKと、後半アディショナルタイムのコーナーキックから。またもホームで勝てなかった。川又とともに最前線で攻撃を引っ張った立場としては、2点目を奪えなかった後悔にたどり着く。
「（川又とのコンビは）悪くはなかったし、しゃべりながらできていたので良かったと思います。1点取ってから、2点目をもっと意識しなきゃいけなかったし、後ろも頑張ってくれているので、前線の選手が得点を取って楽にプレーさせてあげたい」
再開後は、10人を入れ替えて臨んだツエーゲン金沢戦以外、すべてのゲームで先発している。まさしくFWの軸だ。しかし、さすがに連戦の疲労があったのか、先発した試合で最も短い71分で交代している。だからこそ、自ら2点目を奪えなかった悔しさを感じている。
尹晶煥監督はチームの攻撃について改善点を多く挙げている。
「攻撃的な部分で動き出しやボールを収める能力、アイディアを持ってやらなければいけなかった。そこが不足していた部分です」
「攻撃陣はいろいろなバリエーションで動かなければいけないが、あまりにも単純する動きで相手の守備陣が楽に守れてしまった。そういうところがいまから改善していかなければいけないことです」
その重責を担うのが、この24歳なのだ。
試合後のロッカールームは「やっぱりみんな悔しい気持ちを持っていたけれど、ここで終わりじゃないし次もすぐ来ます。次に向かって頑張ろうという声も上がっていたので、悪い雰囲気ではなかったです」という。こんなところで下を向いてあきらめるわけにはいかない。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE
