上写真=前節の金沢戦はアウェーながら2-0で勝利。千葉は明日の東京V戦で連勝を狙う(写真◎J.LEAGUE)
今季初の連勝を狙う
今シーズンの過密日程を乗り越えていくために、選手をローテーションさせて起用するのは、どのチームにもあり得る話で、実際に行なっているチームがほとんどだろう。ただし、フィールドプレーヤー10人を全員を入れ替えて戦うケースは稀だ。4節の栃木SC戦と前節のツエーゲン金沢戦で、千葉の尹晶煥監督はメンバー10人を入れ替えた。2試合で先発したのは、GKの新井章太だけ。
指揮官の選択は「冒険」にも思えたが、結果として勝利を手にした。明日の東京ヴェルディ戦に向けたオンライン取材でも、そのことを問われ、次のように語っている。
「2つのメンバーでいくこと自体は今年の初め頃から考えていました。ただ今回、金沢戦でメンバーを変えることについてはこの3連戦が決まってから決めました。『2メンバー』でいく準備を少し前からやっていて、1週前はコンディションが良くなかったのですが、そこから少しずつコンディションが上がっていった。それでメンバーを変えようと決めました。そして選手もあらかじめ準備をしてくれたので、スムーズに試合に臨めました。これも良い結果に結びついたから、話せているわけですが」
ことリーグ戦において、まるで違う顔ぶれで試合に臨むことはあまりない。チームのベースが崩れる恐れがあるからであり、そこまでの選手層を持つことが難しいからだ。しかし指揮官は覚悟し、選手に期待し、実際に選択して、そんな冒険に勝った。
「リーグ戦でこれほどメンバーを変えるのは簡単な決断ではないと思います。ただ、われわれの選手たちは見てもらえば分かる通り、名前がある選手たちが多く、能力がある選手たちがいます。経験のある選手も多い。それを一つのグループにすることが大事ですが、その作業をここまで地道に頑張ってきました。それがうまくいったのだと思います。大きな冒険ではあったのですが、私は成功したと見ています」
リーグ戦を戦うレベルにあるチームが2つ存在する状況は、当然ながら過密日程を戦うためのコンディション維持を可能にする。そして結果を出すことができれば、互いに刺激し合ってチーム内の活性化にもつながる。指揮官は、そんな理想を掲げ、実際に歩んでいるわけだ。
むろん、試合でメンバー入りしなかった選手たちのコンディション管理などの難しさは指揮官も認識するところだが、今後もうまくローテーションしながら、結果につなげていくつもりだという。中2日で迎える明日の東京V戦も、おそらく金沢戦とは異なる顔ぶれで臨むことになりそうだ。
その東京V戦について指揮官は「正直、特別なことはなくて、選手たちが組織的な守備がしてくれるのであれば、いい流れで攻撃に出られると思っています。もちろん、守備をする時間は長くなると思うのですが、どのくらい組織的に守ってインターセプトをすることができるか。それができれば、攻撃にかけられる人数も多くなる」と語った。
再開後のホームゲーム2試合はいずれも敗戦。フレッシュなメンバーで臨む明日の東京V戦は、3度目の正直となるか。