上写真=再開マッチの町田戦でポポヴィッチ監督と会話をかわす永井監督(写真◎小山真司)
半分以上は成功、残り半分を完成させたい
4戦して2分け2敗。僅差の勝負をものにできず、ここまで勝利をつかめずにいる。ミスがらみで早々に失点し、ゲームプランに狂いが生じている面はあるものの、チャンスの創出と決定力は大きな課題だ。狙い通り、再開後の3試合はポゼッション70%越えで圧倒的にボールを支配できているが、それがそのまま勝利に結びていていない事実がある。指揮官は言う。
「選手たちにはいつも伝えているんですけど、毎試合70%近い保持率になるのは、実はそんなに簡単ではない。みんなにしかできないことだと思います。70%近く持てることが当たり前のように言われるんですが。そのことはいつも伝えていますし、ただし、もちろんボールを持つだけでは、その先はない。何のためにわれわれはボールを持っているのか、何のために幅を取って攻撃するのか。その目的を考えながらやっていこうと」
ボール保持は手段であって、目的ではない。ゲームをコントロールし、ゴールを生み出し、そして勝利を手にするために永井監督が選んだ手立てだ。目的と手段が入れ替わることがあってはならないだろう。
「目的の半分以上は成功していると思いますが、その先ができて、このサッカーは完成する。選手とともに、1日も早く完成させることができるように、勝つためのボール支配だと思うので、そこはこだわってやっていきたいと思います」
永井監督は2年目のシーズンを迎えているが、新たな選手が加わり、チームを再構築している最中にある。相応の時間を要するにしても、やはり問題は、いつ恒常的に勝利を手にできるレベルに達するのかだろう。指揮官の言葉を借りれば「残り半分の完成」がいつになるのかがポイントだ。
明日の甲府戦に必勝を期す
東京Vは再開後、町田戦、栃木戦、大宮戦でボールを握り倒した。明日(15日)の相手は、ヴァンフォーレ甲府。指揮を執る伊藤彰監督は「相手を押し込んで戦うのが自分のやりたいサッカーです。ただ、開幕戦(町田とスコアレスドロー)を経て、より得点を取るということにこだわり、しっかりとチームに落とし込んでいかないといけないと」と、時として点を取るための手段を選ばない側面も持つ。今季は過密日程でもあり、「戦術面では、早くゴール前にボールを入れる形も磨きたい」と、再開前に語ってもいた。
甲府はこれまでの対戦相手よりもポゼッション志向が強いチームではあるものの、真正面から打ち合いを演じることはなさそうだ。東京Vにボールを渡し、素早く前線の外国籍選手を生かす手立てを講じることも十分にあり得るだろう。あるいは高さを生かした攻めもあるかもしれない。
永井監督と伊藤監督は国士舘大で先輩後輩の間柄。永井監督は途中で退部しているが(ヴェルディに加入)、2年後輩の伊藤監督に対して、「サッカーで優位性を取りたい」と話した。チームにとっても甲府戦は敗戦直後の試合であり、観客を迎えて臨む再開後初のホームゲームでもあり、何より勝利が欲しい一戦。
信じる手段で戦う東京Vの今季5試合目は明日、味の素スタジアムで19時にキックオフされる。