町田戦は「前半から飛ばしていきたい」
「私たちにとっては難しい試合しか存在していません」
奥野僚右監督が次節の相手、FC町田ゼルビアについて聞かれてこんな風に表現した。開幕から3連敗という厳しい状況だから……なのももちろんかもしれないが、そもそもの覚悟から出た言葉だ。「J2に昇格してきた私たちは22位からはい上がるというメンタリティーで臨んでいます」。厳しい戦いしかないのは承知の上だ。
3連敗という、考えられる中で最悪のスタートであることは事実。でも、だからといってうなだれていれば許してもらえるのか? そうではない、ということを、奥野監督はもちろんよく知っている。
「今季が終わったときに最終形を表現できるように考えているし、16位、勝ち点50に到達したいという思いがあります。だから、3戦勝ち星なしを悲観する必要もなく、降格がないシーズンだからといって楽観する必要もありません。開幕5試合で勝ち星なしということも経験していますし、終わったときにどこにいるか、どう取り組んでどう表現して、何を達成していくかが大事なのです」
より現実的にピッチに目を向ければ、再開後の水戸ホーリーホック戦で1−3、大宮アルディージャ戦で0−2。できたこと、できなかったことを整理している。まず攻撃の部分はどうか。
「攻撃では成果としてはクロスの本数が多かったことです。一方で、味方がそれに触れる回数が少なかったですね」
「キーパーから落ち着いてボールを運べるようになってきました。そこは継続して取り組んでいきたいと思います。ボールを保持する時間が長くなって相手を揺さぶることができれば、得点の機会は増えますから」
「状況を判断しながらボールを動かすところはスムーズになってきたのは間違いないんですね。さらに絶対的な自信を持って取り組んでほしいですね。押し込んだときの落ち着きやもう一工夫のところを選手に委ねている部分はありますが、コンビネーションや動き方を整理してあげて安定したものにしていきたいですね」
より厳しさを求めるのは、守備についてだ。
「守備では、全体の傾向としては相手の少ないチャンスであっさり失点しているところは改善していません。一つの場所で数的不利になったときに求められる対応力、ドリブルやワンツーではがされたり、ターンされたり、相手が前を向いてパワーを持ってきたところでの対応はコツコツやっていかなければならないし、シュートやクロスを阻むところがまだ足りません」
「セットプレーでの失点が多いところは、練習でいろいろ調整して選手が強さを発揮できるものを構築していきます。(マンマークもゾーンディフェンスも)どちらもできたほうがいいですから。ただ、点を取るのは人間ですから、人に対するマーキング、ボールへのアタックというベースは変わりません」
「1本のクロスやシュートを止めるところに甘さがあります。この部分の基準を上げていきたいと、コーチも含めて我々も積極的に取り組んでいく必要がある、ベーシックの基準を上げたいという話を、選手たちにしました」
選手の甘さは、辛口でビシッと指摘する。Back to the basic。これが改善へのキーワードになるかもしれない。
7月11日の町田戦は、ホームの正田醤油スタジアムに最大でおよそ2200人を入れて戦うことになる。
「積極的に前半から飛ばして主導権を握りたいと思っています。守備の時間が長くなっても主導権を握りながら、攻撃のときに迫力を出したい」
「まだまだ私自身、未熟な部分がありますから、サポーターの皆さんの力をお借りできれば、失点したとしてもその後に違うものが表現できると思います。一喜一憂しないようにしなければいけませんが、励みになります」
さあ、初勝利を、サポーターとともに。