6月28日、J2再開の試合で京都サンガF.C.はジュビロ磐田に快勝した。アグレッシブな守備から一気に攻める形が冴え渡り、ピーター・ウタカがフィニッシャーとしての役割を全う。約4カ月延期されていた新スタジアムでの初の公式戦を白星で飾った。

上写真=先制点、追加点とウタカの2ゴールで京都は磐田に快勝した(写真◎早浪章弘)

■2020年6月28日 J2リーグ第2節(@サンガS)
京都 2ー0 磐田
得点:(京)ピーター・ウタカ2

・京都メンバー◎GK若原智哉、DF森脇良太、ヨルディ・バイス、安藤淳、飯田貴敬(85分:長井一真)、MF荒木大吾(78分:黒木恭平)、庄司悦大、曽根田穣、金久保順(85分:福岡慎平)、FW宮吉拓実(77分:ジュニーニョ)、ピーター・ウタカ(77分:野田隆之介)

・磐田メンバー◎GK八田直樹、DF小川大貴(72分:山田大記)、大武峻(53分:針谷岳晃)、藤田義明、MF宮崎智彦(53分:櫻内渚)、松本昌也、上原力也(63分:ルリーニャ)、伊藤洋輝、伊藤洋輝、FW小川航基(72分:三木直土)、ルキアン

みんなが素晴らしい仕事をしてくれた(ウタカ)

 本領発揮だった。16年に広島でJ1得点王に輝き、昨季J2甲府で20得点を挙げた点取り屋が、その力を見せつけた。ピーター・ウタカが期待通りの活躍で2ゴールを挙げ、京都が磐田に完勝した。

 1点目は、金久保の浮き球パスを磐田ディフェンスラインの間で呼び込み、巧みな身のこなしから左足を振り抜いた。2点目は、より多くの選手と連動して決めている。荒木がドリブルで左から中央へと持ち込んでグラウンダーのパスをエリア手前の宮吉へ送る。そして宮吉はワンタッチでエリア内のウタカへパス。

 ゴールに背を向けた状態でボールを収めたウタカは右に反転しながらボールをシュートポイントへ置き、左足を一閃。技術の高さを示すシュートでネットを揺らしてみせた。 

 1点目も2点目も、見逃せないのはチーム全体で、ウタカという攻撃の終着点を生かし切っているところだ。京都は、チームとしてやるべきことが整理されている。前向きの守備でボールを奪うと、サイドでも中央でも選手が同じ絵を描いてゴールを目指した。

 その絵の中の、目立つ場所にウタカがいる。

「今日のゴールは、自分たちはどういうプレーするべきか、戦術的なことも含めて、理解した上でのものでした。自分がひとりというわけではなく、スタッフもそうですし、チームメイトも素晴らしい仕事をしてくれた。今日、出ていない選手も、すべての人たちが今日の試合を迎えるために、ピークを持ってきた。チームワークで生まれたゴールです」

 ウタカはチームの中で自分の持ち味を出すことに集中し、力を尽くした。そして2トップを組む宮吉を筆頭に京都の選手たちはウタカを生かし切ることを考えた。個とチームの理想的な関係がこの日の京都には見て取れた。

 京都のJ2再開初戦は、サンガスタジアムでの公式戦初戦でもあった。新スタジアム元年にJ1復帰を狙うチームにとって、ウタカがその力を証明し、昇格を争うライバルに勝利した事実は大きな意味を持つ。

 ウタカが生き、そして生かされる今季の京都サンガF.C.。最高の形でリスタートを切った。
 
写真◎早浪章弘


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