上写真=ポジティブな姿勢で「ヴェルディらしさ」を体現する佐藤優平(写真◎東京ヴェルディ)
「完成度が上がってきています」
ここまで消化した練習試合は3試合。佐藤優平は「中盤のいろいろなポジションをやりましたよ」と静かに話した。
ヴェルディでは4−3−3の中盤の底を「リベロ」、インサイドハーフを「フロントボランチ」と呼んでいて、佐藤は開幕戦ではリベロでプレー。自粛期間を経て練習が再開されてからも、中盤のポジションのいずれかでプレーしているとしつつも、「いろんなフォーメーションをやってるんで」とバリエーションを広げている狙いを示唆していて興味深い。
攻撃面については、佐藤はこうも話している。「攻撃のパターンの正確さについては新しいことにチャレンジしたこともあったし、この3か月の時間は良かったと思う。戦術理解度を高めることが必要だったので、開幕戦から比べて頭の中が整理されました」
昨季途中に永井秀樹監督が就任し、独特な攻撃サッカーで魅了してきた。その精度を高めながら、プラスアルファに取り組むことができているようだ。
同じく中盤で輝く井上潮音も、攻撃面における確かな手応えを隠さない。「練習試合を重ねるにつれて、完成度が上がってきています。個人的にはだいぶいいんじゃないかな。ボールを回せているけど崩したり点を取るところが足りなかったけれど、そこの完成度もだいぶ上がってきたかなと思います」。その充実ぶりは、自信に満ちた口調と爽やかな笑顔が物語っている。
町田の印象は「ないですね、正直」
それでも佐藤は、自分に甘い評価は許さないようだ。「ボールを保持するところの正確性を上げていかなければいけません。再開後は連戦になる中で、主導権を持ってボールを握ることを徹底してやらないと自分たちのサッカーはできません」
井上も同じように、喜んでいるだけではない。「崩しの部分をやってきたけど、まだ思い切りの部分とかシュート数が少ないんです。個人の思い切りが特にゴール前で少ないかなと感じます」とチームとしての反省点ははっきり見えている。
その矢印は自分にもしっかりと向けている。「怖さがないと個人としてもチームの力になっていけません。僕にはそこが足りないと感じています。チームのプラスになるために、より怖い選手になりたいと意識しています」「数字を残せればもう一つ上のレベルにいけると思っています。進化するという意味では数字を残したい」
怖いという点では、佐藤がその筆頭かもしれない。球際のハードな守備、攻撃への迷いなき推進力で相手には恐怖を与え、味方には勇気を与える。再開初戦の町田についての印象について聞かれて「ないですね、正直」とさらりと受け流すあたり、すでに駆け引きを始めている。
佐藤や井上や、あるいはほかの個性豊かな選手たちが織りなす攻撃の「プラスアルファ」とは、一体どんなものなのか。そのヴェールは間もなく取り払われる。