上写真=練習後、オンラインでの取材に答える田中(写真◎スクリーンショット)
観察と実行の自粛期間
「ファン・サポーターの皆さんがいることが、どれだけ幸せなのかを感じることになると思う」
6月27日に予定されている再開後のリーグ戦について、田中稔也は予言めいた言葉を口にする。少なくとも最初の数試合は無観客試合になることが見込まれているが、スタンドに人のいないピッチに立つ自分を想像して、そんな風に話したのだ。
だからこそ、「勇気を与えられるサッカーをしたい」ときっぱりと言い切る。
そのための全体トレーニングは6月1日に始まったのだが、そこまでの長い中断期間では「自分に足りないこと、体のことを知ることができた」という。そこで自宅トレーニングに取り入れたのが、ヨガ。知人がオンラインで画面越しに教えてくれたのだという。
そもそも、上半身の硬さが気になっていたそう。「僕は体が硬いので、柔軟性を求めてヨガをやってみました。ネイマールは体が柔らかくて、上半身の動きがクネクネなので、そこを意識して」
ブラジル代表が誇るクラッキの極意を、上半身の柔らかさだと見抜いたからこそのトライ。観察と実行の自粛期間だった。
柔らかくなった上半身で
大前元紀や宮阪政樹、岩上祐三、内田達也という実力者が新加入したザスパクサツ群馬。2月23日、「J2復帰戦」となった開幕戦は、ホームで迎えたものの、0-3でアルビレックス新潟に完敗した。強風の中、終盤までは0-0で拮抗していたものの、82分、86分、88分に立て続けに失点した。それを悔やむ。
「失点するまではよくやっていたけれど、そこから立て続けに失点してしまいました。修正していかなければいけません」
右サイドハーフで先発した田中自身は前半にシュートを放っているのだが、これがこの日のチーム唯一のものだった。そして、77分にピッチを去ったあとの3失点。「攻撃の形は見えたし、監督がいつも言っているように精度を高めていくしかない。再開した全体練習でもそこを突き詰めている」と反省は生かすつもりだ。
そのための「上半身」だ。ヨガでは肩周りの可動域を広げる効果があったと実感していて、「上半身は柔らかくなった気がします。これからも続けていくので、これからもっと効果が出てくると思います」と自分に期待している。
「ネイマール的クネクネ」によって、敵陣を面白いようにスラロームしていく背番号11の姿が目に見えるようだ。