上写真=広島との練習試合で持ち味を発揮した椋原(写真◎石倉利英)
「自信を持ってやるだけ」
久しぶりに戻ってきたエディオンスタジアム広島は、かつて経験したものとは違う雰囲気だった。3月11日のサンフレッチェ広島とファジアーノ岡山の練習試合は関係者のみに公開されたため、スタンドに人影はほとんどなし。その中で行なわれた45分×4本の試合で岡山DF椋原健太は1、2本目の右SBに入り、同サイドから攻め込まれるシーンもあったが、粘り強く対応した。
広島がJ1残留争いを強いられた2017年夏、セレッソ大阪からの期限付き移籍で加入し、J1リーグ8試合に出場して残留に貢献。翌年に岡山に完全移籍した椋原は、古巣との対戦で相手のレベルの高さを実感したという。「やっぱりうまいので、守るときに引いてしまうと、プレスの掛けどころが本当に見つからなくて。前半(1本目)は少し後手に回ってしまった」。それでも、「後半(2本目)は僕たちの方が良いサッカーができていたんじゃないか」と語り、2月に宮崎キャンプでの練習試合で対戦したときよりも「手応えを感じた試合だった」と胸を張った。
岡山加入2年目の今季、2月23日のツエーゲン金沢とのJ2リーグ開幕戦はベンチスタートで、後半アディショナルタイムの交代出場だったため、プレー時間はわずかだった。しかし金沢戦に右SBでフル出場したDF増谷幸祐が、3月に入って恥骨結合炎で全治4カ月と診断され、長期離脱。「今季はシーズンに入る前から状態が良く、体も切れていた」という良いコンディションを保っていたところで、定位置奪取のチャンスが訪れている。
「自信を持ってやるだけ」と語る椋原は、新型コロナウイルスの影響によるJリーグ全公式戦の延期が続いていることに「正直、難しい部分はある」という。だが一方で「僕としてはチャンスなので、物にしたいし、リーグ再開のときにスタメンでピッチに立っていたい。そのためにできることを一日一日、大切にやるだけです」と意気込む。
現時点での再開初戦は4月5日、アウェーでのFC町田ゼルビア戦。椋原はリスタートを見据えて「2回目の開幕というくらいのテンションで、(ファン・サポーターやメディアの)皆さんと盛り上げていければ」と言葉に力を込め、チーム力アップを誓った。
文◎石倉利英 写真◎石倉利英