上写真=新ユニフォームを着て登壇した井出。右は同じく新戦力の大久保嘉人(写真◎BBM)
周りがうまくて練習も刺激的
十代のころからその才能を高く評価され、ジェフユナイテッド千葉で高校生ながらJデビュー。プロ入り3年目から定位置をつかみ、チームの主軸を担ったが、2017年に移籍したガンバ大阪では出場機会が限られ、その力を発揮し切れなかった。
そして心機一転、昨季、モンテディオ山形に移ってからはコンスタントにプレー。トップフォームを徐々に取り戻すと、今オフ、東京ヴェルディからオファーが届いた。本人にとっては願ってもない話だったという。
「移籍を決断した一番の理由は永井さんのサッカーです。去年、永井さんが監督になってからヴェルディの試合をたくさん見ていて、良いサッカーをしていたし、今年も、それを積み上げていくと聞きました。さらに進化を目指して、ヴェルディがこれから目指すものについての話を聞いたときに、自分もやりたいと思いましたし、ここならもっと自分も成長できると感じました」
では永井ヴェルディの何に一体、心をつかまれたのか。
「ボールを保持して相手を圧倒して勝つというサッカーをやっていると思います。ボールをすごく大事にするというか、ボール支配率を高くして、相手のコートでプレーするというイメージを持っています。それが一番、自分としてもやりたいサッカーですから」
そのスタイルに惚れ込んだから、井出は今回、移籍を決断した。そして実際に始動から数日を過ごし、その考えが間違いじゃなかったと感じている。
「昨日の練習試合(国士舘大戦)はケガでやってないですけど、ここに来てみて、やっぱり監督やコーチ陣が求めるものが高い。本当に高いところを目指してやっています。それとヴェルディというチームはやっぱり、うまい選手が多い。自分としてもすごい刺激になっています。ここならもっともっとうまくなれる、わくわくするようなサッカーができるという感想ですね」
やっぱりヴェルディの選手はうまい、というのは、井出自身が子どもの頃から感じていたことだった。小学生時代、そしてジェフ千葉でのジュニアユース時代、ヴェルディの子どもたちと対戦するたびに、そんなイメージを抱いた。だが、まさかそのヴェルディに自分が来るとはさすがに想像できなかった。
「ずっと実家は東京で、小学生時代も所属していたのが東京のチームだったので、東京トレセンでヴェルディのグラウンドに来ていたり、そういう思い出もたくさんありますが、自分がまさかここでプレーするとは思ってもいなかった。永井さんがまた新しいサッカーを積み上げているというところで、一番行きたいと思っていたチームに、このタイミングでオファーをもらえたのは、うれしかった。だから呼んでもらった分、しっかりチームに返していきたいと思っています」
求められるレベルが高く、トレーニングでは体はもちろん頭もフル稼働させなければならない。ただ、その分しっかり成長できる。永井ヴェルディに直接触れて、強く実感したという。
「(大久保)嘉人さんが新しく入ってきて、レアンドロもいて、エーコくん(小池純輝)もいて、前には、ゴールを取れる選手がいるとは思います。でも、その選手たちだけではなく、中盤の選手がどれだけ点に絡めるかが昇格するには大事になる。チームがボールを保持している中で、攻撃にアクセントをつけることだったり、違いを作るということが自分に求められていること。その役割を果たせるようにやっていきたい。
個人としてはガンバ時代にJ1を経験しましたが、いまの目標はもう一度、このチームでJ1に上がることです。そして個人としては全試合に絡むことが目標。その中でもちろん結果にはこだわりたいですし、勝利に導けるような、違いを作れる選手になりたい」
井出は、相手を圧倒する攻撃サッカーを加速させる存在になれるか。新しい背番号11がピッチに違いを生み出すたびに、ヴェルディは目標に近づくことになる――。