上写真=鳥取から完全移籍で加入した福村(写真◎BBM)
ちょうど1年後の個人昇格
静かな口調に、強い決意がにじんでいた。J3のガイナーレ鳥取から完全移籍で加入したDF福村貴幸は「去年はJ2昇格を目指していた自分が、今年はJ1昇格を目指せる立場にいるだけでもすごいやり甲斐がありますし、それが叶えられたらもっともっと成長できると思っています」と語り、新天地での活躍を誓った。
紆余曲折を経てのJ2復帰となった。大阪桐蔭高から2010年に当時J1の京都サンガF.C.に加入し、15年途中から清水エスパルス、17年からは当時J2のFC岐阜でプレー。だが18年限りで岐阜を契約満了になった後、なかなか次の所属先が決まらなかった。
J3のガイナーレ鳥取が声を掛け、加入が発表されたのは新チーム始動直前の19年1月9日だった。ギリギリで拾われた形だったが、新天地では4バックの左SB、3-4-2-1の左アウトサイド、さらにボランチでもプレーするマルチロールとして才能を発揮。利き足の左足から繰り出す正確なキックを武器に、全34試合のうち32試合にフル出場した。
その活躍ぶりが東京Vの目に留まり、個人昇格が決定。東京Vが加入を発表したのは奇しくも、鳥取への加入発表からちょうど1年後、2020年1月9日だった。福村は鳥取を離れる際、吉野智行強化部長に「ガイナーレには本当に感謝しています」とお礼を述べたという。
福村は新体制発表後の取材で「一番は、チーム(ガイナーレ)として昇格することだと思ってやっていました。でも、(ヴェルディから)お話をいただき、年齢的にも色んなことを考えて決断しました。個人として昇格することになりましたけど、(鳥取に)感謝しています」と、あらためて鳥取への思いを口にした。
その上で東京Vでのプレーについて「チームとしてやらないといけないこと、やろうとしていることが明確にあるチームなので、まずはそれをしっかり自分が学んで、チームとして機能するようにしないといけない」と語り、サポーターに向けてのアピールポイントを聞くと、「ゴールにつながるラストパスとか、起点になるパスとか、キックの部分は見てほしいと思います」と回答。今度はチームとともに、昇格を実現すると誓った。
文◎サッカーマガジン編集部 写真◎BBM