10月10日の明治安田J1リーグ第9節で、FC東京が後半に一気に決めて浦和レッズを3-0の完勝で下した。ゴールが生まれない時間も長かったが、焦れずにマネジメントしていったのは、ボランチの常盤亨太。彼が示した2つのアクションがゴールを、勝利を生み出した。

上写真=常盤亨太が巧みなゲームマネジメントの中心にいる(写真◎J.LEAGUE)

■2026年10月10日 J1第9節(観衆34,998人/@味スタ)
FC東京 3-0 浦和
得点:(F)長倉幹樹、安斎颯馬、佐藤恵允

たったの8秒

 長倉幹樹、安斎颯馬、佐藤恵允。鮮やかに決めた3人のゴールが注目を集めるのも、華やかさを下支えする存在がいるからこそ、である。

 その一人は、間違いなく常盤亨太だ。

 65分の先制ゴールは安斎がフリックしたボールで抜け出した長倉が蹴り込んだものだが、その安斎に預けたのが常盤だった。このパスに至るまでの動作に、確かな戦略が組み込まれていた。

 右斜め後ろのアレクサンダー・ショルツから中盤の真ん中で引き出すと、軽く一歩フェイントを入れてから時計回りにターンして右サイドを向き、ボールを運ぶエリアを変えている。このアクションに秘密があった。

「相手の圧力がだんだん落ちてきているのを感じていたので、そこで逆を取れれば、というところ。相手のアンカーの横が空くのは分かっていたので、ボランチで1枚はがせれば、という前半の振り返りがあって、そこをうまく出せました」

 相手の弱点はどこか。前半の分析の結果がハーフタイムに選手に共有され、後半に効果的に活用する。

「アナリストのところからもいろいろな提示がある中で、中の選手がうまく取り入れながらできたので、本当にすべてがいい方にかみ合ったと思います」

 あのターンは、いまのFC東京の好循環の一端を示すアクションだったのだ。

 先制点を生み出したこのパスだけではない。85分の3点目は右サイドの高い位置で力強くシングルプレス、マテウス・サヴィオからボールを奪いきったことがきっかけだ。すぐさま仲川輝人に預け、そこから縦へ、長倉が内側に優しく送って佐藤恵允が突き刺した。常盤が奪ってから決まるまでたったの8秒という、あっという間のダメ押しゴールだ。

「たぶん(マテウス・サヴィオが)自分のことを見えてなかったと思うので、詰めれば奪える感覚があって、奪いました」

 1点目のパスも3点目のプレスも、賢くて厳しい「頭脳派ハンター」の特徴を最大限に発揮したアクションだった。

 無失点での4連勝と波に乗ってきたが、これは常盤がピッチに戻ってきたタイミングと一致する。今季は序盤に出遅れたが、ようやくここ5試合は連続フル出場。どの試合も簡単ではなかったが、チーム全体のゲームマネジメントが相手を上回っていて、その中心に背番号27がいる。

「前半は相手が飛ばしていましたし、自分たちが(ボールを)動かせば後半に仕留められるというのも、最近の試合では自分たちの自信になっています。だから、焦ることはなかったし、守備も(失点が)0できていることで焦りが生まれないのがいまのいいところ」

 試合をコントロールしながら仲間を主役に押し上げるのは、まさに大黒柱の風格である。そして、この日のボランチのパートナーは永野修都だった。、これがJ1デビューの20歳をも輝かせた。

「オレが気なんか使わなくてもやれる選手だと思うので、変な気を使うんじゃなくて、対等な関係だし、ライバルだと思ってるので」

 FC東京のアカデミーの後輩の実力を認め、そして高め合っていた。

「主力選手が何人もケガしている中で、下からの突き上げもあってみんなギラギラしています。もちろんケガ人が帰ってくることも願っていますけど、いまはその好循環が生まれてると思います」

 6勝2分け1敗という好成績が健全な競争の上に成り立っていることを誇らしく思う。そしてもちろん、常盤自身もギラギラしている。


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