9月12日の明治安田J1リーグ第7節で、横浜F・マリノスは首位のFC町田ゼルビアとドロー。谷村海那の先制点をアシストしたのが松村晃助だ。今季初めてトップ下に入り、絶妙なCKを合わせた。役割を全うしながらオリジナリティーを出すタスクを完遂してみせた。

上写真=松村晃助がトップ下のポジションで存在感を示した(写真◎J.LEAGUE)

■2026年9月12日 明治安田J1第7節(観衆48,623人@MUFG国立)
町田 1-1 横浜FM
得点:(町)望月ヘンリー海輝
   (横)谷村海那

「やられない、というよりは」

 右を進んで自ら放った強烈な右足シュートがGK谷晃生に弾かれた。だが、これで獲得した右CKを中央に蹴り込むと、谷村海那のヘッドにどんぴしゃり。12分の先制ゴールを、松村晃助がアシストした。

「最初に右サイドの高い位置でボールを受けて、ドリブルで仕掛けながら中の状況を見たときに、キーパーの選手が前にポジション取っているのが見えたので、ちょっとタイミングをずらしてシュートを狙ってみようかなと」

 センタリングが定石にも思えるポジションとタイミングだったから、意表を突いた。

「コーナーキックはチームとして狙うポイントがあるので、練習はしていました。そこに蹴ったらいい形で決めてくれたので、本当に谷村選手に感謝です」

 マークを巧みに外した谷村も見事だが、ニアに引っかからないように、それでいてファーに逃がさずに中央のポイントにストンと落とすようにコントロールした松村のキックの質は高かった。

 スティーブ・コリカ監督に見込まれて、法政大4年生ながらリーグ戦全試合にボランチの一角で先発してきた。しかしこの日は、天野純の欠場により谷村のすぐ後ろのトップ下に入った。

「ポジションは1列前ですけど、チーム全体としてやることは変わらないので、そこをしっかりと頭の中に入れた上で、もっと自分が10番のポジションでボールをピックアップできたら、ビルドアップの前進のところも楽にはなったと思う。そこはもっともっとコミュニケーションを取ってやりたかった」

 プレーの意識と反省点をセットで語る口調に澱みがない。整理して実行して完遂した手応えがにじむ。

 それは、コリカ監督が就任して植え付けてきたスタイルをまっすぐに表現する存在になったからでもある。いつもとは違うポジションでも、チームとして機能するように振る舞う。文字にするだけなら造作もないが、首位のチームを相手にピッチの上で理想の通りに戦うのは簡単ではない。

「いつも後ろから見ていて、谷村選手と天野選手の守備のところは見ながらやっていたので、そこに自分が入ることになったときに、彼らのプレーも参考にしながら谷村選手とコミュニケーションを取って守備をしていました」

 相手のビルドアップに対して、谷村が最前線でボールホルダーの選択肢を削り、その先のラインを松村が制限してボランチへのパスルートを絶った。町田の前半のシュートはわずか1本。谷村から始まり、松村が連動し、さらに後ろがつながる守備は万全だった。

 ただ「10番」としてはそれでは足りなかった。

「チーム全体でプレスをかける部分と、しっかりブロックを敷いていく部分は、前半は特にいい塩梅でできていたと思います。でも、もっと圧力をかけていけば、やられないというよりは、奪ってゴールまでつなげられる場面もあった。そのタイミングはもっともっとチーム全体ですり合わせて成長していきたい」

 守備では天野が背中で見せてきたようなチームの約束事をトレースした一方で、攻撃ではオリジナリティーを散りばめた。

「元々自分のポジションは8番や10番ではあるので、そこでやっていたことを自信を持ってプレーするだけかなと思っていました。だからそこでは、天野選手のプレーを意識した感じではないですね」

 半分は天野的に、残りの半分は自分らしく。今季初めて「10番」としてプレーした松村の若々しいプライドがチームを引っ張った。さらにその存在感を高めたことで、チームとしての戦い方の幅を広げたのではないだろうか。


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