FC東京が衝撃的な大敗で「新開幕」のシーズンをスタートすることになった。8月8日の明治安田J1リーグ第1節で、FC町田ゼルビアに1-5の逆転負け。最悪の船出だが、シーズンは長い。優勝を公言するならば、すぐに切り替えた姿を見せることが絶対条件になる。

上写真=マルセロ・ヒアンが5分に先制。好スタートを切ったかに見えたが…(写真◎J.LEAGUE)

■2026年8月8日(土) 明治安田J1第1節(観衆36,336人@味スタ)
FC東京 1-5 町田
得点:(F)マルセロ・ヒアン
   (町)ミッチェル・デューク、明本考浩、相馬勇紀、テテ・イェンギ、岡村大八

「シンプルにプレーすればよかった」

「そういうのはないです」

 稲村隼翔の、決然とした回答だった。

 数的不利と大量失点での開幕戦黒星。長いシーズンを戦う中で修正するには、多くの反省が最初の試合で出て良かったと考えることもできるのでは、と投げかけたあとだ。

 自らのミスから逃げない意思表示である。

「2点目は自分のところでミスしての失点だった。シンプルに個人的なミスだったので」

 1-1の同点とされたあとに左サイドバックの橋本健人が退場し、数的不利になった。このままハーフタイムまで持ちこたえて立て直すのが定石だが、45+2分、相手のミドルパスをテテ・イェンギと競り合ったところで稲村がクリアしきれず、こぼれ球を明本考浩に蹴り込まれて逆転を許した。

「シンプルに右足で外に逃げようと思ったところで、ボールを見失うような感じになってしまって…。映像を見ていないのでなんとも言えないですけど、シンプルにプレーすれば良かったなと」

 ビハインドを背負って後半に臨むことになり、51分、65分、80分と3失点を食らった。ホームでの開幕戦に1-5という残酷なスコアが刻まれた。

 一方で、この日唯一のゴールを決めたマルセロ・ヒアンにも、大きな反省が残った。

 5分にGKキム・スンギュのゴールキックが前線まで飛んできて、佐藤恵允がヘッドで前に送ると、右斜め前に走ったヒアンが右足を振り抜いて、GK谷晃生の股下を抜いて先制。ここまでは良かった。

 だが、突き放しておくべきチャンスを逃してしまった。

 11分、長倉幹樹のポストからのパスを受けて前向きでドリブル、自らも狙えたが、左の俵積田晃太に渡し、しかしカットインからのシュートはDFへ。

 14分には室屋成のスルーパスで裏抜けしてループシュートで決めたものの、わずかにオフサイドで取り消される不運もあった。それでも、ゴールへのムードは高まった。

 だからこそ、22分に中央を真っ二つに割った室屋からの絶妙のスルーパスで抜けて、またも軽く浮かせて狙ったシュートが谷の右手に阻まれたのは、実に悔やまれる。

「私のストロングポイントでもありますし、それをチームメートも分かってくれています。自分が動いたところにバスが出るシーンは増えてくるはず」

 スピード自慢のスタイルがチームに融合できている好感触があるだけに、決めなければならなかった。

「もちろん止められたので言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、運というか、それでも入らなかったということです。サッカーですから、いいこともあります」

 急造3バックなど戦術的な反省点もあるにせよ、それ以前に気になるのは数的不利になったあとのナイーブさ。深く突き立てるような反省と、サッカーには悪いこともあればいいこともあるから次に進むといういい意味での開き直りの間に最適なバランスを見出すことが、「切り替え」の源になるのだろう。


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