上写真=鈴木楓が昨年までサポーターとしてそこにいたゴール裏を見つめる。新たな決意が湧き上がった(写真◎J.LEAGUE)
■2026年5月2日 J1百年構想リーグ第14節(観衆:33,991人@味スタ)
FC東京 2-0 川崎F
得点:(F)佐藤恵允、野澤零温
お手本は稲村隼翔
「小さい頃から見ていたこの味スタでピッチに立ったことは非常にうれしいですし、まだスタートラインに立っただけなので、ここから出場時間を伸ばして東京の勝利に貢献できるように頑張りたい」
鈴木楓の言葉からは、初々しさがこぼれ落ちていた。今季加わったルーキーは90+1分、キャプテンの室屋成に代わってピッチに送り込まれ、念願のデビューを果たした。
「リキさん(松橋力蔵監督)には、いつも通りに楽しんでこいって言われたので、リラックスできて緊張もしないでピッチに入れました」
リードは2点。残り時間はわずか。勝利へと時間を進め、歓喜の瞬間をピッチの上で味わうことができた。
「なんかもう、シンプルに応援がすごくて。自分はいつも応援していた側だったので、ピッチに立って、選手たちはこういう雰囲気でやってきたんだなと改めて実感できました。応援してくださってる方たちに、プレーで恩返ししていきたい」
FC東京の練習グラウンドがある小平市の出身。自らは中学生年代から選手として所属してきたが、同時に「ゴール裏の住人」として選手たちをスタジアムで後押ししてきた。そしてついに、今度は自分が声援を受ける立場になった。
「スタンドで味わう勝ちとピッチで味わう勝ちは全然違う感情になりました。この感情をサポーターの人に感じ続けてもらえるように、自分たちもピッチで戦っていきたい」
決意を新たにしたデビューだった。
「自分は後ろのポジションだったらボランチまでどこでもできる。それを強みにして、自分1人がベンチにいればどこでもカバーできるという部分をポジティブにとらえています」
守備のユーティリティーは監督にとっては頼もしいカードになる。まずはその役割からのし上がっていく意気込みだ。
今季、プロとしてチームの一員になって、松橋力蔵監督やスタッフから言われてきたのは、「遠くを見る」ことだったという。
「いまの東京はビルドアップが主流。後ろから組み立てるところで一つ遠くを見ることは常に言われています。自信のあるキックを生かすのに、常に遠くを見つつ近くにさばいたりもしていくのが大事だと思っています」
お手本は背番号17。稲村隼翔のキックが理想だ。
「利き足は違いますけど、左足での縦パスやロングボールを差す部分はすごく参考にさせてもらっています。イナくんみたいに遠くも近くも使い分けるキックができる選手になりたい」
青赤のDNAをピッチに注ぎ込んでいくストーリーが、勝利とともに始まった。
