上写真=マルセロ・ヒアンが充実感たっぷりのガッツポーズ。貢献度は高まるばかりだ(写真◎J.LEAGUE)
■2026年2月21日 J1百年構想リーグ第3節(観衆:22,672人@U等々力)
川崎F 1-2 FC東京
得点:(川)山原怜音
(F)マルセロ・ヒアン、室屋 成
「バタバタしない」
開始10数秒で放った鋭いシュートはGKスベンド・ブローダーセンに止められたものの、あれは「予言」だったのか。
マルセロ・ヒアンが絶好調で、ポストプレーもビルドアップも守備も軽やかにこなした。そしてもちろん、ゴールも。
18分、左から遠藤渓太がクロスを送り、長倉幹樹が競り合ってこぼれたところに、エースはいた。ていねいにボールを手なずけてから右足をシャープに振ると、ボールはGKブローダーセンの手を弾いて左ポストに当たりゴールに転がり込んだ。
「目の前がゴールだったので、ゴールに入れることだけを考えていました。最初の2試合で点を決められていなかったので、3試合目でようやく決めることができて、少し落ち着きが出てきました。引き続きゴールを決めて、チームに貢献したいです」
初ゴールの喜びを表現する言葉にも、真面目な個性がにじみ出る。
今季はすこぶる調子がいい。プレー面でそれを示すのは主に2つのポイントだろう。まずは、守備に集中していること。
「キャンプからプレスのかけ方はチーム全体で息を合わせることができたと思っています。それが試合に出ているということ。私たち前線で奪ったり、また他のところでも奪ったりと、非常にいいと思っています」
189センチ86キロと体が大きくスピードのあるマルセロ・ヒアンが向かっていけば、追いかけられるほうはプレッシャーを感じないわけはない。長い距離でも短い距離でも繰り返し繰り返し追いかけ回す。奪い切る強いアタックとコースを巧みに消す頭脳的な位置取りを、相手と味方の状況を踏まえて選び取る。
そして、そこにきちんと味方がついてくるつながりが、今季のFC東京の武器になっている。
「自分が行ったらみんなで行く、みんなが行ったら自分が行くし、特にボランチの声がよく聞こえています」
今季からボランチの定位置をつかんだ常盤亨太も、マルセロ・ヒアンとピッチ内外でコミュニケーションを欠かさないことを明かしている。信頼感の積み重ねが強力なプレスを生むのだ。
もう一つは、ポストプレーの確実さ。特にこの日は、相手センターバックに近づかせない場所にうまく立って、あるいは背中から強く当たられても動じずに、受けてさばいてリズムを作った。
「自分が今日、何回かキープできたことによって、チームがすごく落ち着いて、バタバタしないというところはあると思います」
38分に室屋成が決めた決勝ゴールも、常盤亨太の縦パスをマルセロ・ヒアンが収めて右に展開し、佐藤恵允が持ち運んだ流れから生まれている。
昨季もチームトップの8ゴールを挙げているが、無私のプレスと安定のポストプレーに磨きがかかり、チームへの貢献度は間違いなく高まっている。キャプテンの室屋成も「ヒアンもものすごく守備をしてくれる。ああやってハードワークしてくれて、そういうチームにならないと勝ち点は積み上がっていけない」とその献身を称える。
この日のゴールは、完全移籍した今季、背番号を19から9に変えて初めて決めた一発だった。
「9番を着てゴールが決められて非常にうれしいですし、チームのためにこれからもっともっと貢献したいと思ってます」
ゴールもポストもプレスも何でもやる。このチームの勝利のために走ることをやめるつもりはない。
