上写真=大ケガを乗り越え、復帰した試合でいきなり目に見える結果を出した山見大登(写真一番右◎J.LEAGUE)
できれば自分のゴールで勝ちたい
途中出場から5分後だった。松橋優安に代わってピッチに入った山見大登は、敵陣左サイドで得たFKの場面で冷静に狙いを定めた。
「スカウティングで、相手のニアか大外を狙おうというのはあったので、触らなくてもいい、ゴールに入るようなボール狙ったらなんとかなるかなと。いいところに飛んでくれました」
その右足から放たれたボールはゴールに向かって鋭く飛び、ニアに飛び込んだ染野唯月がわずかに頭で触ってコースを変え、ネットを揺らした。前半から相手にペースを握られ、苦しい展開が続いていた東京Vが同点に追いつく貴重なプレースキックとなった。
「後半に入ってからもあまり流れは良くなかった。その部分でいつも通りやって、守備のところから入ろうっていうのは(交代出場する際に)言われたので、守備の部分で変なことが起きないようにとは意識してやりました」
前半は完全に柏ペース。後半のスタート直後もその流れは相手の側にあった。だが、山見を含めた3人が同時に交代(齋藤→福田、新井→吉田)でピッチに入り、東京Vにチャンスが生まれ始めた。柏のボランチ、中川敦瑛も状況の変化についてこう証言している。
「相手のシャドーが、ちょっと牽制気味に前に出るようになって、前掛かりできるようになったので、その矢印を利用してうまく崩していけたら良かった」
要するに東京Vの2人のシャドー(山見と福田)の振る舞いによって柏のボランチ陣は前半のようにリズムよくパスを回せなくなった。果たして東京Vに流れが傾いていった。
「チーム全体として焦って攻撃に行く部分はなくて、落ち着いてボールを回していたので、落ち着きながら、相手を揺さぶりながら、ウィークは守備の部分だと思うので、そこで相手をズレさせながらやろうと思っていました」
同点後、さらに攻め込む機会を増やした東京Vはアディショナルタイムに福田涌矢がミドルシュートを沈め、ついに逆転に成功した。チームはこれで開幕2連勝。J1の東西クラブの中で唯一、連勝を果たしたチームとなった。
昨年6月に右ヒザ前十字靭帯を損傷し、全治6から8か月と診断されていた山見が、復帰した試合でアシストを記録し、勝利に貢献したことは東京Vにとって非常に大きいと言える。公式戦出場は昨年6月15日にホームで行われた柏戦以来。そのときは前半のみで交代し、試合も0−3で敗れていた。
「できれば自分のゴールで勝ちたいというのはありますけど、柏に勝ったという部分は良かったかなと思います」
次は、自分のゴールで。山見は貪欲に、自身の得点と勝利を求めていく。
